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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H16.11.15東京簡裁判決

判決年月日: 2004年11月15日
2010年5月24日 公開

平成16年(少コ)第2715号売買代金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 下里敬明

【事案の概要】
内職商法で月2万円は確実に稼げると勧誘されてシステム(CD-ROM)を購入させられた者が,断定的判断の提供を受けたとして4条1項2号による取り消しを求めた。

【判断の内容】
以下の理由から取消を認めた。
① 内職商法の被勧誘者であることを特に問題とすることなく,明らかに「消費者」にあたるとした。
② 月2万円は確実に稼げるとの発言は,将来において得るべき収入という不確実な事項につき具体的な金額を示して確実であるとの言い方をしており,断定的判断の提供(4条1項2号)にあたる。

◆ H16.11.12福岡高裁判決

判決年月日: 2004年11月12日
2010年5月24日 公開

平成15年(ネ)第752号不当利得返還等請求控訴事件
最高裁HP,判例タイムズ1187号231頁
裁判官 簑田孝行,駒谷孝雄,岸和田羊一

【事案の概要】
手形貸付を反復継続して受ける方法で長期間にわたって高利での借入をしていた者からの貸金業者に対する不当利得返還請求。

【判断の内容】
過払い金の充当方法について,当事者間における情報の質及び量並びに交渉力の格差という1条の趣旨をあげて借主にもっとも容易に検算ができる後払計算方式を借主が指定充当したものと推認した。

◆ H16.10.22大阪高裁判決

判決年月日: 2004年10月22日
2010年5月24日 公開

平成16年(ネ)第295号学納金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 大谷種臣,三木昌之,島村雅之
第1審 H15.12.22大阪地裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
下記の理由から,消費者契約法施行前に在学契約を締結した原告を含めて,入学金以外の学納金の返還を認めた。
① 入学金の法的性格は「大学に入学し得る資格ないし地位を得ることの対価」等であり,返還を求めることはできない。
② 4月1日以降間もない時期(遅くとも入学式以前)に在学契約が解除された場合には,実質的には4月1日以より前の入学辞退と異なるところはなく,特段 の事情がない限り,平均的損害は存在しないと推認するのが相当であるところ,この推認を覆すに足りる特段の事情は認められず,授業料不返還特約は9条1号 に反し無効である。
③ 授業料不返還特約は暴利行為の要件を満たし,公序良俗に反し無効である。

◆ H16.10.07大阪簡裁判決

判決年月日: 2004年10月 7日
2010年5月24日 公開

平成16年(ハ)第2169号リース料請求事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 原司

【事案の概要】
電話機及び主装置一式のリース契約に基づきリース会社がリース料の支払いを求めたのに対し,リース契約の当事者ではない取扱店の従業員による勧誘が不実告知にあたるとして契約の取消しを主張した。

【判断の内容】
当該リース契約の締結に関し,申し込みの勧誘から契約書等の作成,契約内容の説明などは当該取扱店が行っていたことを前提に,当該従業員が光ファイバーを 敷設するためにはデジタル電話に替える必要があり,電話機を交換しなければならない旨を告げたため被告(消費者)がこれを信じたとし,4条1項1号による 契約の取消しを認めた。

◆ H16.10.01大阪高裁判決(2)

判決年月日: 2004年10月 1日
2010年5月24日 公開

未登載
第1審 H15.12.22大阪地裁判決(1)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日以降間もない期間内(遅くとも入学式以前)に在学契約を解除した場合においては,特段の事情がない限り,大学には具体的な損害(平均的損害)は発生しないとして,授業料について返還を命じた。

◆ H16.10.01大阪高裁判決(1)

判決年月日: 2004年10月 1日
2010年5月24日 公開

未登載
原審 H15.11.27京都地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。一部当事者につき消費者契約法施行前の事案。

【判断の内容】
原審と同じ
①在学契約は施設利用等を要素とする有償双務契約であり,かつ消費者契約である。②入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③授業料を 返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じる一方,公序良俗には違反しないとして,消費者契約法施行前の当事者については返還義務を 否定した。

◆ H16.09.22福岡地裁判決

判決年月日: 2004年9月22日
2010年5月23日 公開

平成15年(ワ)第974号損害賠償請求事件
最高裁HP
裁判官 亀川清長,板野俊哉,山口幸恵

【事案の概要】
マンションの購入の際,ペットの飼育に関する販売業者の説明が不適切であったためペットの飼育が可能であると誤信して購入契約を締結させられたとして,説 明義務違反による損害賠償請求(債務不履行責任)又は不利益事実の不告知(4条2項)による取消し等に基づく不当利得の返還を求めた。

【判断の内容】
マンション販売業者は制定予定の管理組合規約等の内容を説明する限りにおいてペット飼育の可否ないしその制限等についても説明する義務を負うとしたが,管 理組合規約は管理組合総会によって制定,改正されるものであるから,販売業者がマンション販売に際し説明しうるのは制定予定の管理組合規約等の内容に限ら れ,それを超えてペット飼育の可否についての説明義務までは負わないとして債務不履行責任を否定した。
マンションにおけるペット飼育の可否はマンション売買契約における重要な事項であったとしたが,販売業者による説明は制定予定の管理組合規約の解釈を述べ たにすぎず,また,購入者は本件マンションに入居する以前もマンションにおいて管理上一定の制約を受けつつペットを飼っていたことからすれば,利益となる 事実を告げたとはいえないとして,不利益事実の不告知による取消しを否定した。

◆ H16.09.15大阪地裁決定

判決年月日: 2004年9月15日
2010年5月23日 公開

未登載
再抗告審 H17.01.31大阪高裁決定

【事案の概要】
貸金業者に対する過払い金返還請求訴訟について合意管轄条項に基づき移送の決定がなされたことに対し,当該合意管轄条項が10条に反し無効であるとして当該決定の取消しを求めた。

【判断の内容】
当該金銭消費貸借はいわゆる無店舗営業の方法により貸し付けられたものであることに加え,当該貸金業者は,管理本部により債権の管理を一元的に行っていたことも窺われるため,取引に関する資料が存することが窺われる本店所在地を管轄裁判所として指定することにもある程度の合理性が認められ,当該合意管轄条項は民法1条2項に規定する信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとは認められないとした。

◆ H16.09.10大阪高裁判決(2)

判決年月日: 2004年9月10日
2010年5月23日 公開

平成16年(ネ)第21号学納金返還請求控訴事件
最高裁HP,判例時報1882号44頁,1909号174頁
裁判官 井垣敏生,高山浩平,大島雅弘
上告審 H18.11.27最高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
入学金については,その目的に照らして相当な価額を超える場合は,その超える部分は,他の学納金と同様に,大学が提供する教育役務に対する費用ないし報酬 と評価せざるを得ないとしつつ,本件については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。授業料を返還しない旨の特約は,暴利行為であり民法の公 序良俗に反して無効として,授業料の返還を命じた。

◆ H16.09.10大阪高裁判決(1)

判決年月日: 2004年9月10日
2010年5月23日 公開

平成15年(ネ)第3707号学納金返還請求控訴事件
最高裁HP,判例時報1882号44頁,1909号174頁,消費者法ニュース62号139頁
裁判官 井垣敏生,高山浩平,神山隆一
上告審 H18.11.27最高裁判決(4)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
入学金については,その目的に照らして相当な価額を超える場合は,その超える部分は,他の学納金と同様に,大学が提供する教育役務に対する費用ないし報酬 と評価せざるを得ないとしつつ,本件については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。授業料を返還しない旨の特約は,暴利行為であり民法の公 序良俗に反して無効として,授業料の返還を命じた。



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