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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H17.01.26名古屋地裁判決

判決年月日: 2005年1月26日
2010年5月25日 公開

平成14年(ワ)第4110号帳尻差損金請求事件,第5428号不当利得返還等反訴請求事件
兵庫県弁護士会HP,消費者法ニュース63号100頁,判例時報1939号85頁
裁判官 岡田治

【事案の概要】
商品先物取引における帳尻差損金等の請求に対し,断定的判断の提供,不実の告知,不利益事実の不告知があったとして,消費者契約法4条1項2号及び同条1 項1号ないし同条2項による契約の取消を主張した。業者は,商品先物取引には取引所という第三者が存在しており,消費者契約法4条5項により,取消をもっ て善意の第三者に対抗できないから消費者契約法を適用できないと主張して争った。

【判断の内容】
以下の理由から取消を認めた。
① 2条により商品先物取引にも消費者契約法の適用がある。
② 「灯油は必ず下げてくる,あがることはあり得ないので,50枚売りでやってほしい。」「上場企業の部長の私を信用して30枚やってもらえませんか。」 「当たりの宝くじを買うみたいなものですよ。」「責任をもって利益をとって,お盆休みあけには,私が現金を持っていきます。」等の勧誘は,断定的判断の提 供(4条1項2号)にあたる。
③ 先物取引業者は商法551条の問屋にあたり,自己の名で他人のために物品の販売又は買い入れをなすもので,市場における取引契約が取り消されるわけではないから,先物取引業者による消費者契約法4条5項の主張は理由がない。

◆ H17.01.12大阪地裁判決

判決年月日: 2005年1月12日
2010年5月24日 公開

平成15年(ワ)第10259号損害賠償請求事件
未登載
裁判官 岡原剛

【事案の概要】
通学定期乗車券の不正使用について,旅客鉄道規則の規定に基づき,乗車区間の往復の旅客運賃を基準に有効期限の翌日から不正使用が発覚した日までの全期間を乗じた運賃に2倍の増運賃を加算した損害賠償金等の支払いを求めた。

【判断の内容】
旅客鉄道規則の規定が増運賃を定めた趣旨は,不正使用に対する違約罰であり,多数の案件を画一的に取り扱う普通取引約款の性質上,定型的に不正使用に対す る徴収金を定める規定の一般的合理性は是認でき,規定自体が消費者契約法10条に違反するとの主張は採用できない。しかしながら,旅客鉄道規則の規定は不 正使用の蓋然性の高いことが前提となっており,不正使用の蓋然性が認められない期間にまで機械的に適用して増運賃を請求することは10条の法意に照らして 許されないとして適用を制限した。

◆ H16.12.20東京地裁判決

判決年月日: 2004年12月20日
2010年5月24日 公開

平成14年(ワ)第20658号,第24250号,第28684号不当利得返還請求事件
判例タイムズ1194号184頁
裁判官 野山宏,酒井正史,出口亜衣子

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
① 消費者契約法施行以前の契約については,返還義務を否定した。
(施行後の契約について)
② 入学金は入学資格を取得するための権利金又は予約完結権の対価の性質を有するとして返還義務を否定した。
③ 授業料等入学金以外の学納金については,学校側が最終的な入学者数が定員を若干上回るように補欠・繰上含めて合格者数を定め,毎年最終の入学者数とこ れに伴う授業料収入をある程度の幅をもって予測し,これに必要な人的・物的手当を準備すると共に,人件費,物件費の支出見込額を計上していること,入学手 続完了後の入学辞退者の全体に占める比率も小さいこと等から,予測した入学者数の加減を下回ることは通常考えられず,学校側に生じる平均的な損害はないも のとして,9条1号により返還を認めた。

◆ H16.12.17大阪高裁判決

判決年月日: 2004年12月17日
2010年5月24日 公開

平成16年(ネ)第1308号敷金返還請求控訴事件
兵庫県弁護士会HP,判例時報1894号19頁,消費者法ニュース63号92頁
裁判官 若林諒,三木昌之,島村雅之
第1審 H16.03.16京都地裁判決

【事案の概要】
賃貸マンションの解約時にクロスの汚れなどの自然損耗分の原状回復費用を借主に負担させる特約を理由に,敷金を返還しないのは違法として,家主に敷金20 万円の返還を求めた。なお,賃料には原状回復費用は含まないと定められている。

【判断の内容】
原審と同じ
通常の使用による損耗(自然損耗)の原状回復費用を借主の負担と定めた入居時の特約について,「自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させること は,賃借人の目的物返還を加重するもの」であり,「契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害する」と判断し,10条に照らし て無効とし,全額返還するよう命じた(10条と民法90条との関係は特別法と一般法との関係にあたり10条により無効とされれば,民法90条により無効か 否かを判断する必要はないとした。)。なお,本件賃貸借契約は平成13年4月の消費者契約法施行前だったが,施行後に合意更新されていることから,消費者 契約法は適用できるとの判断も示した。

◆ H16.11.30神戸簡裁判決

判決年月日: 2004年11月30日
2010年5月24日 公開

平成16年(ハ)第10756号保証金返還請求事件
未登載
控訴審 H17.07.14神戸地裁判決

【事案の概要】
賃貸借契約終了時には賃借人から預託を受けた保証金から一定額を控除した残額を返還する約束をしたが,賃借人は,その約束は10条により無効として保証金の返還を求めた。

【判断の内容】
本件特約は10条に違反しないとして,請求を棄却した。

◆ H16.11.30大阪簡裁判決

判決年月日: 2004年11月30日
2010年5月24日 公開

未登載

【事案の概要】
「保証金」として差し入れた家賃5.3ヶ月分の金員のうち,4.5ヶ月分を差し引く敷引特約は10条により無効であるとして返還を求めた。

【判断の内容】
建物賃貸借契約に伴う保証金の返還について,敷引特約あるいは類似の契約に関する民法,商法上その他の法規上の任意規定はなく,また,賃借人の転居は自己 都合であることなどから敷引特約は信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということはできないとして,返還を否定した。

◆ H16.11.29東京簡裁判決

判決年月日: 2004年11月29日
2010年5月24日 公開

平成16年(ハ)第4044号立替金請求事件
最高裁HP
裁判官 野中利次

【事案の概要】
訪問販売で日本語をよく話せない中国人に教材を売りつけた事案で,信販会社が立替金を請求した。

【判断の内容】
①販売店の担当者がクレジットの返済月額を1万2000円位であると説明したが,実際にはその倍以上の引き落としであったこと等について不実告知と認め,本件クレジット契約は信販会社が販売店に媒介を委託したものであるとして(5条),4条1項による取消しを認めた。
②騙されたことを知った後に立替金を支払っていたとしても,相手方に対して追認の意思表示がなされた訳ではないとして,追認の主張を排斥しクレジット契約の取消しを認めた。

◆ H16.11.19佐世保簡裁判決

判決年月日: 2004年11月19日
2010年5月24日 公開

平成16年(少コ)第7号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 久保正志

【事案の概要】
敷金として差し入れた家賃4ヶ月分の金員のうち,3.5ヶ月分を差し引く敷引特約は10条により無効であるとして返還を求めた。

【判断の内容】
賃貸借契約締結時に十分な説明のないまま敷金4ヶ月分のうち一律に3.5ヶ月分を差し引く敷引特約は10条により無効であり,また,建物につき自然損耗を超えた損害についての原状回復費用を認定する証拠もないとして,敷引特約にかかる金員全額について返還を命じた。

◆ H16.11.18大津簡裁判決

判決年月日: 2004年11月18日
2010年5月24日 公開

平成16年(ハ)第317号不当利得返還請求事件
未登載
裁判官 清野住和

【事案の概要】
専門学校合格後,入学式前に入学を辞退した受験生が,納付した入学金及び運営協力金のうち運営協力金の返還を求めた。

【判断の内容】
①運営協力金は,入学後の教育施設の利用及び教育的役務の享受に対する対価であり,入学金のように入学し得る地位を保持することの対価としての性質を有するものではない。
②損害賠償義務の一部について無効という利益を受ける消費者が「平均的な損害の額を超える」ことの立証責任を負う。
③在学契約を完全に履行した場合に得られる利益額が平均的損害に含まれるとする学校側の主張を斥け,被告の主張以外に損害及び損害額を認め得る証拠は存在しないとして,運営協力金全額の返還を命じた。

◆ H16.11.18大阪地裁判決

判決年月日: 2004年11月18日
2010年5月24日 公開

平成15年(ワ)第13395号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 中本敏嗣

【事案の概要】
コンピュータ専門学校に入学した後,2学年の授業料の内金を支払ったが,その後2学年に進級する前に退学したとして,不当利得返還請求権に基づき支払った内金の返還を求めた。

【判断の内容】
①一般に在学契約は,準委任契約の性質を有しつつも,施設利用契約等の性質を併せ持つ複合的な無名契約であり,学生はいつでも将来に向けて在学契約を解約できる。
②「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は,学納金不返還特約の効力を否定する消費者の側にある。
③本件では,在学契約の解除が年度を超えた6月21日であると認定しつつ,退学の意思を表明したのが2月10日であり,2学年次の初めから休学扱いとさ れ,2学年次の授業を全く受けていないこと,学校側が入学定員を設定している以上,定員割れがあるかどうかにかかわらず,それだけの設備は当然に備えてお かなければならないことなどから,退学者が出ても学校側に損害が生じたとは言い難いとし,既に納付した授業料相当額全額が平均的な損害を超えるものとし て,全額の返還請求を認めた。



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