【レイアウトの手動変更】

レイアウトの種類は目安です。
【レイアウト】と【文字サイズ】を変更し、最適な閲覧環境でご覧ください。


PC・タブレット横に最適
タブレット縦に最適
ファブレット・スマホ横に最適
スマホ縦に最適
※設定は90日間有効です。
×
 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H17.03.01千葉簡裁判決

判決年月日: 2005年3月 1日
2010年5月27日 公開

平成16年(少コ)第77号敷金等返還請求事件
消費者法ニュース63号97頁
裁判官 伊藤みさ子

【事案の概要】
敷金等の返還請求に対し,賃貸人が,賃貸借契約書に,賃借人が原状回復をし賃貸人がその原状回復を承認した時を明け渡し日時とする旨,及び,前記承認まで賃借人は賃料の倍額相当の損害金を支払う義務がある旨の条項があることを主張した。

【判断の内容】
社会一般に通常行われている賃貸借契約に比し賃借人に特に義務を負担させる条項が有効であるためには,賃借人に対しその義務の内容について説明がなされ て,賃借人がその義務を十分に理解し,自由な意思に基づいて同意したことが必要であるとし,これを認めるに足る証拠はないとして,同条項について賃借人の 意思を欠き無効であるとして,返還請求を認めた。また,原状回復条項について,自然損耗についてまで賃借人に負担させるものと定めたものではないとして, 適用を制限した。

◆ H17.02.24東京高裁判決(2)

判決年月日: 2005年2月24日
2010年5月27日 公開

東京高裁平成15年(ネ)第6002号
未登載
第一審 H15.10.23東京地裁判決(1)
上告審 H18.11.27最高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。消費者契約法施行後の授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じ た。ただし,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については,「入学資格を得た対価」として返還義務を否定し た。一般入試以外の場合には,当該学部・学科を第1志望とすることが出願資格であり,学納金等の返還を求めることは信義則違反とし,返還請求を認めなかっ た。

◆ H17.02.24東京高裁判決(1)

判決年月日: 2005年2月24日
2010年5月27日 公開

未登載
第1審 H16.03.22東京地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【内容の判断】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。4月22日に辞退を申し出た者については,授業料の返還義務を否定した。

◆ H17.02.17堺簡裁判決

判決年月日: 2005年2月17日
2010年5月25日 公開

平成16年(ハ)第2107号敷金返還請求事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 小林七六

【事案の概要】
敷金の約83%を差し引く敷引特約は10条により無効であるとして返還を求めた。

【判断の内容】
敷引特約は10条により無効とし,全額返還を命じた。

◆ H17.02.16東京地裁判決

判決年月日: 2005年2月16日
2010年5月25日 公開

平成16年(ワ)第25621号解約精算金請求事件
最高裁HP,判例時報1893号48頁,国センくらしの判例集HP2005年7月
裁判官 水野邦夫
控訴審 H17.07.20東京高裁判決

【事案の概要】
外国語会話教室において,レッスンを受講するためのレッスンポイントを事前に一括して購入することとされ,その料金は購入ポイント数が多くなればなるほど 単価が安くなる制度が採用されている一方,途中解約する場合には,当初の単価ではなく,消化済みのレッスンポイントと同程度のコースの契約時単価(購入時 よりも割高となる)を単価として精算することとされている約款が,特定商取引法49条2項1号イに違反して無効であるとして,精算金を請求した。教室側 は,約款の合理性を主張した。

【判断の内容】
以下の理由から,精算金の不足分についての返還請求を認めた。
① 特定商取引法49条2項の趣旨は,継続的役務取引において,中途解約を申し出た者に対し,事業者が控除できる金額の上限規制をもうけることにより,役 務受領者が高額の請求をおそれて中途解約権の行使をためらうことがないようにして,中途解約権を実質的にも行使可能なものとするところにある。
② 事業者が役務の対価を前払金として受領しており,役務受領者の中途解約があり,その受領済みの前払金の中からすでに提供された役務の対価に相当する部 分を控除して返還するという場合において,前払金の授受に際して役務の対価に単価が定められていたときは,その単価に従って提供済みの役務の対価を算出す るのが精算の原則となる。教室側の主張する理由はいずれも合理性がなく,当該約款が特定商取引法49条2項1号イに違反し無効である。

◆ H17.02.03東京簡裁判決

判決年月日: 2005年2月 3日
2010年5月25日 公開

平成16年(ハ)第11333号貸金請求事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 山本正名

【事案の概要】
約定利息を年29%とする貸金業者の貸金返還請求において,契約書面に記載された「元金又は利息の支払いを遅滞したとき,(略)催告の手続を要せずして債 務者は期限の利益を失い直ちに元利金を一括して支払います。」との期限の利益喪失条項との関係で,貸金業規制法43条1項の適用の有無が争われた。

【判断の内容】
本件期限の利益喪失条項を記載した契約書面は,信義則上,もはや例外規定たる貸金業法43条1項の適用の特典は受けられず,本則規定の利息制限法が適用される。
資金需要者(債務者)も広い意味で消費者であること等も考慮する必要があり,かかる観点からは,事業者には契約締結に必要かつ正確な情報の提供と説明義務 が求められ,消費者契約法4条では,不実告知,不利益事実の不告知等により消費者が誤認して契約を締結した場合契約の取消ができるとされているのであり, 金銭消費貸借契約においてもその法の精神は,信義則の適用として及ぼされなければならない。貸金業者には,信義則上,債務者の利益のために,必要かつ正確 な情報を提供する義務があり,重要事項につき事実と異なる不正確な内容を記載したり,債務者の利益を害する契約条件を記載した場合には,貸金業法43条1 項の適用は受けられない。本件の期限の利益喪失条項は,実際の効力以上の無効な内容が表記された不適正,不正確な内容であり,債務者の誤解を招き,債務者 にとって不利益な条項と認められるとし,本件契約書面は貸金業法17条の要件を充さず,したがって,貸金業法43条1項の適用はないものとして,利息制限 法による残債務のみの請求を認めた。

◆ H17.01.31東京地裁判決

判決年月日: 2005年1月31日
2010年5月25日 公開

国センくらしの判例集HP2007年3月

【事案の概要】
MBAの資格取得のために,アメリカのビジネススクールの留学試験への合格を目的として,事業者が開講する授業を受講したが,留学に必要なすべてが確実に なるとか,個別指導をする旨の募集要項等において標榜されていた事項が実際には全く違っていたので,4条1項等により取消を主張した。

【判断の内容】
契約した一部のコースについては,留学に必要なすべてが確実になるような内容のものではなく,個別指導方式とはほど遠い内容のものであり,消費者契約法4 条にいう重要事項についての不実の告知があったものとして,その部分の契約については取消を認めた。残りのコースについては,特定商取引法の継続的役務提 供に当たり,消費者契約法に基づく本件受講契約の取消の意思表示は本件受講契約の中途解約の意思表示を含むものとして,特定商取引法49条に基づく中途解 約による返金が認められた。

◆ H17.01.31大阪高裁決定

判決年月日: 2005年1月31日
2010年5月25日 公開

未登載
抗告審 H16.09.15大阪地裁決定

【事案の概要】
貸金業者に対する過払い金返還請求訴訟について合意管轄条項に基づき移送の決定がなされたことに対し,当該合意管轄条項が10条に反し無効であるとして当該決定の取消しを求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
当該金銭消費貸借はいわゆる無店舗営業の方法により貸し付けられたものであることに加え,当該貸金業者は,管理本部により債権の管理を一元的に行っていた ことも窺われるため,取引に関する資料が存することが窺われる本店所在地を管轄裁判所として指定することにもある程度の合理性が認められ,当該合意管轄条 項は民法1条2項に規定する信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとは認められないとした。

◆ H17.01.28大阪高裁判決

判決年月日: 2005年1月28日
2010年5月25日 公開

平成16年(ネ)第2217号敷金返還請求控訴事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 柳田幸三,磯尾正,金子修
原審 H16.06.11京都地裁判決
上告審 H17.06.14最高裁第三小法廷上告申立不受理

【事案の概要】
通常の使用に伴う自然損耗分も含めて賃借人の負担で契約開始当時の原状に回復する旨の特約のある建物賃貸借契約の解約に際し,当該特約が無効であるとして敷金の返還を求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
原状回復の要否の判断が専ら賃貸人に委ねられていることや,賃貸人が賃借人に代わって原状回復を実施した場合に賃借人が負担すべき費用を算出する基礎とな る単価について上限の定めがないことに加え,集合住宅の賃貸借において,入居申込者は賃貸人側の作成した定型的な賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるよ うな交渉力を有していない一方,賃貸人は将来の自然損耗による原状回復費用を予測して賃料額を決定するなどの方法を採用することが可能であることなどか ら,当該特約はその具体的内容について客観性,公平性及び明確性を欠く点において信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害するものとして10条によ り無効とされた。

◆ H17.01.27東大阪簡裁判決

判決年月日: 2005年1月27日
2010年5月25日 公開

平成16年(ハ)第608号受講料等返還請求事件
消費者法ニュース63号137頁
裁判官 中島嘉昭
控訴審 H17.09.30大阪地裁判決

【事案の概要】
こども英会話講師養成認定資格の受講契約を締結し,入会金と受講料を振り込んだが,受講前に解約し,入会金と受講料の返還を求めた。

【判断の内容】
「一度ご入金頂いた費用は,ご自身のご都合による返金はできません。」という不返還条項は,民法651条1項の解除権を排除するもので,消費者の権利を制限し,消費者の利益を一方的に害する条項であるから,消費者契約法10条により無効であるとし,返還請求を認めた。



ひとつ前のページにもどる弁護士法人 近江法律事務所|トップページにもどる