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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H19.04.27大阪高裁判決

判決年月日: 2007年4月27日
2010年6月8日 公開

平成18年(ネ)第2971号預託金返還等請求控訴事件
判例時報1987号18頁,国セン報道発表資料(2008年10月16日公表)
裁判官 中路義彦,礒尾正,久末裕子

【事案の概要】
外国為替証拠金取引にかかる業者に対する預託金返還請求権の約7割を放棄する旨の和解契約につき,10条による無効又は不実告知(4条1項1号),断定的判断の提供(同2号)等を理由とする取消を主張して預託金残額の返還を求めるなどした。

【判断の内容】
今,預託金の一部を返還を受けることによって残金を放棄する旨の和解契約を締結しなければ,業者が外国為替証拠金取引の営業停止処分を受け,その結果倒産 し,預託金はほとんど戻ってこない旨の説明は,将来における変動が不確実な事項についての断定的判断の提供に該当するとして,4条1項2号による和解契約 の取消を認めた。

◆ H19.04.20大阪地裁判決

判決年月日: 2007年4月20日
2010年6月8日 公開

平成19年(レ)第274号保証金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 角隆博,伊藤佑子,伊藤正晴
第1審 大阪簡裁平成18年(ハ)第70359号
上告審 H19.09.13大阪高裁判決

【事案の概要】
敷金90万円のうち45万円を差し引くという平成9年締結の敷引特約付賃貸借契約が,自動更新条項により1年ごとに8回自動更新された後に賃貸借契約が終了し,敷引された45万円を請求し,原審は10条違反として請求を認めたが,控訴審でこれを否定した事例

【判断の内容】
① 本件自動更新条項による更新の際には賃貸借の条件について協議がなされて合意が成立する事情はない。
② 消費者契約法施行後に賃貸借契約を締結する場合には賃貸人は同法の適用があることを前提として契約条件を定めることができるが,本件に同法を適用すると,更新拒絶に正当事由が要求されている関係から,賃貸人に不測の損害を与えかねない。
③ 本件敷引特約は,民法90条違反とは認められない。

◆ H19.04.20京都地裁判決

判決年月日: 2007年4月20日
2010年6月8日 公開

平成18年(レ)第79号敷金返還請求控訴事件
最高裁HP,消費者法ニュース73号214頁
裁判官 山下寛,森里紀之,衣斐瑞穂

【事案の概要】
控訴人が,被控訴人との間で締結した賃貸借契約には,賃貸借契約終了時に敷金の一部を返還しない旨のいわゆる敷引特約が付されており,被控訴人から敷金 35万円のうち5万円しか返還されなかったことから,上記敷引特約が10条により全部無効であるとして,被控訴人に対し,敷金残金30万円などの返還を求 めたところ,上記敷引特約は10条により無効であると判断された事例

【判断の内容】
以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認めた。
① 賃貸借においては賃借人に債務不履行があるような場合を除き,賃借人が賃料以外の金銭の支払を負担することは法律上予定されておらず,また,関西地方 において敷引特約が事実たる慣習として成立していることを認めるに足りる証拠はないから,本件敷引特約は,民法の公の秩序に関しない規定の適用による場合 に比し,消費者の権利を制限するものである。
③ 自然損耗についての必要費は賃料により回収され,更に敷引特約によりこれを回収することは,契約時に敷引特約の存在と敷引金額が明示されていたとして も,賃借人に二重の負担を課すことになる。また,敷引特約は関西地区における不動産賃貸借において付加されることが相当数あり,賃借人が交渉でこれを排除 することは困難であって,消費者が敷引特約のなされない物件を選択すればよいとは当然にはいえない状況にあることなどを総合すると,本件敷引特約は,信義 則に反して消費者の利益を一方的に害するものである。

◆ H19.04.03最高裁判決

判決年月日: 2007年4月 3日
2010年6月8日 公開

平成17年(受)第1930号解約精算金請求事件
最高裁HP,最高裁判所民事判例集61巻3号967頁,判例時報1976号40頁,判例タイムズ1246号95頁,金融商事判例1275号17頁,1277号8頁
裁判官 那須弘平,上田豊三,藤田宙靖,堀籠幸男,田原睦夫

【事案の概要】
外国語会話教室の受講契約の解除に伴う受講料の精算について定める約定が,特商法49条2項1号に定める額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効であるとされた事例

【判断の内容】
① 本件使用済ポイントの対価額も,契約時単価によって算定されると解するのが自然。
② 契約時よりも常に高額となる精算規定は,実質的には,損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので,受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。

◆ H19.03.30大阪地裁判決

判決年月日: 2007年3月30日
2010年6月8日 公開

平成18年(レ)第196号損害賠償請求控訴事件,平成18年(レ)第239号損害賠償請求附帯控訴事件
判例タイムズ1273号221頁
裁判官 横山光雄,高木勝己,小川清明

【事案の概要】
建物賃貸借契約の敷引特約が10条により一部無効であるとして,賃借人の賃貸業者に対する敷金返還請求が一部認容された事例

【判断の内容】
次の理由から,25万円について請求を認めた。
① 敷引金の性質は,契約成立の謝礼,自然損耗の修繕費用,更新料免除の対価,終了後の空室賃料,賃料を低額にすることの代償などの様々な要素を有するものが渾然一体となったものである。
② 本件敷引金のうち,契約更新の際賃料を下げる代わりに敷引金を5万円上げたことが明らかであり,この部分は賃料減額の代償である。残りの25万円については元々予定されていた敷引金であり,①の性質を有する。
③ 5万円の部分は賃料低額の代償として賃借人に一方的に不利益ということはできず有効であるが,25万円の部分は一方的に不利益である。
④ 敷引特約は,賃借人の交渉努力によって特約自体を排除することは困難であり,事業者が一方的に押しつけている状況にあるといっても過言ではない。本件敷引特約についても,25万円については交渉の余地がなかったと認められる。

◆ H19.03.30長崎地裁判決

判決年月日: 2007年3月30日
2010年6月8日 公開

平成18年(ワ)第453号生命保険金請求事件
消費者法ニュース72号207頁
裁判官 上拂大作

【事案の概要】
生命保険契約の保険金請求に対し,保険料の支払いが猶予期間を2日過ぎてなされたとして,失効約款の適用により失効しているとして争われ,生命保険契約の 失効約款の適用に関し,未払保険料の支払が猶予期間を2日も経過しないうちに行われている場合は,消費者契約法・消費者基本法等の消費者保護の理念に基づ き,保険契約の失効を主張することは信義則上相当ではないとされた事例

【判断の内容】
次の理由から,原告の請求を認めた。
① 本件保険約款は,一応,有効。
② しかし,信義則や当事者間の衡平の見地,消費者契約法等,消費者と事業者との格差に鑑み,約款の規制を検討する必要がある。
③ 本件失効約款は,民法の原則よりも消費者に不利益になっている。
④ 保険ではわずか2日の遅れで,それまでは継続して払われていたし,自動振替制度で引き落としがなされない場合には取立債務に準じた債務の履行ということになり,実際に預金があった場合には不履行を認めることができず,原告に帰責性がない。軽微。
⑤ よって,本件失効約款を適用することは信義則上相当ではなく,失効を主張することはできない。

◆ H19.02.20福岡地裁判決

判決年月日: 2007年2月20日
2010年6月8日 公開

平成18年(ワ)第2326号損害賠償請求事件
国セン報道発表資料(2008年10月16日公表)
裁判官 細谷泰暢

【事案の概要】
パチンコ必勝法詐欺が,断定的判断の提供に当たるとして4条1項2号により取消を認め,代金の返還請求を認めた事例

【判断の内容】
① 一般的に,パチンコにおいて遊技者がどのくらいの出玉を獲得するかは,複合的な要因による偶然性の高いものであって,将来における変動が不確実な事項である。
② 被告が「絶対稼げる」「誰でもできる」などといった勧誘文句及び同趣旨の広告を用いて原告を勧誘した行為は「断定的判断の提供」にあたる。
③ 原告は,②の断定的判断の内容が確実であると誤信したものである。

◆ H19.02.06西宮簡裁判決

判決年月日: 2007年2月 6日
2010年6月8日 公開

平成18年(ハ)第108号敷金返還請求事件
消費者法ニュース72号211頁
裁判官 西田文則

【事案の概要】
建物賃貸借契約の敷引特約が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
① 法人は「事業者」(2条2項)にあたる。
② 原告が学者であっても,事業としてまたは事業のために契約したものでないことは明らかであり「消費者」(2条1項)にあたる。
③ 本件敷引特約は10条違反である。

◆ H19.01.29東京地裁判決

判決年月日: 2007年1月29日
2014年3月29日 公開

平成18年(ワ)11115号不当利得返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 永野厚郎

【事案の概要】
 被告から未公開株式を購入した際に、被告従業員から株式が上場されることにより値上がりすることは間違いないとの断定的判断の提供を受けたとして、4条1項1号及び2号に基づく売買契約の取消しと代金の返還を求めた事案。

【判断の内容】
 被告による断定的判断の提供があったとして,4条1項2号により売買契約の取消を認め,代金の返還を命じた。

◆ H19.01.29名古屋地裁判決

判決年月日: 2007年1月29日
2010年6月8日 公開

平成18年(ワ)第4452号損害賠償請求事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 安田大二郎

【事案の概要】
パチスロ攻略法が断定的判断の提供に当たるとして4条1項2号による取消,不法行為による損害賠償請求が認められた事案。パチスロ攻略法の売買は消費者契約法による保護を受ける契約か否か,消費者の努力義務違反があるか否かも争われた。

【判断の内容】
① パチスロ攻略法は断定的判断の提供に当たる。
② 事業者と消費者の格差の観点からは,本件売買について取消を認めても消費者契約法の趣旨を逸脱するものではない。
③ 消費者の努力義務(3条2項)は,事業者から提供された情報を活用するように要請するに過ぎず,消費者自ら情報を収集する努力まで課すものではない。



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