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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H21.08.07東京簡裁判決

判決年月日: 2009年8月 7日
2010年6月16日 公開

平成21年(少コ)第998号敷金返還請求本訴事件(通常手続移行),平成21年(ハ)第23060号解約違約金等請求反訴事件
最高裁HP
裁判官 藤岡謙三

【事案の概要】
建物賃貸借契約で,敷金返還請求に対し,貸主が修理代,及び,1年未満での解約を理由として2ヶ月分の違約金を請求した事案。2ヶ月分の違約金の定めが9条違反となるかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,2ヶ月分の違約金の定めが9条1項違反として,1ヶ月分を超える部分の請求を棄却した。
① 中途解約の場合の違約金の定め自体は,直ちに10条違反となるとはいえない。
② 違約金については,一般の居住用建物の賃貸借契約において途中解約の場合に支払うべき違約金額は賃料の1ヶ月分とする例が多数であり,相当。これを超える部分は9条1号により無効。

◆ H21.07.30京都地裁判決

判決年月日: 2009年7月30日
2010年6月16日 公開

平成20年(ワ)第3216号保証金返還請求事件
未登載
裁判官 辻本利雄,和久田斉,戸取謙治
控訴審 H21.12.15大阪高裁判決
上告審 H23.07.12最高裁判決

【事案の概要】
マンション居室の敷金返還請求。敷引条項の有効性が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,本件敷引条項は10条違反であるとした。
① 本件敷引条項は,10条前段に該当する。
② 10条後段該当性については,法1条にかんがみ,当事者の属性,契約条項の内容,契約条項が具体的かつ明確に説明され消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきである。
③ 貸主の主張する敷引の性質はいずれも合理性がない。

◆ H21.07.23京都地裁判決

判決年月日: 2009年7月23日
2010年6月16日 公開

平成20年(ワ)第3224号敷金返還請求事件
最高裁HP,判例時報2051号119頁
裁判官 辻本利雄,和久田斉,戸取謙治

【事案の概要】
マンション居室の敷金返還請求。敷引条項,更新料条項の有効性が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,本件敷引条項,更新料条項は10条違反であるとした。
① 本件敷引条項は,10条前段に該当する。
② 10条後段該当性については,法1条にかんがみ,当事者の属性,契約条項の内容,契約条項が具体的かつ明確に説明され消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきである。
③ 貸主の主張する敷引,更新料の性質はいずれも合理性がない。

◆ H21.07.10横浜地裁判決

判決年月日: 2009年7月10日
2010年7月9日 公開

平成19年(ワ)第2840号報酬契約金請求事件
判例時報2074号97頁、2111号154頁
裁判官 宮坂昌利

【事案の概要】
弁護士である原告が,依頼者である被告から委任の途中で解任されたことに関し,未払いの着手金残額及びみなし報酬特約または民法130条の規定によるみなし条件成就を主張して報酬の支払いを求めた事案。

【判断の内容】
みなし報酬特約は9条1号に反し無効であるとして請求を棄却した。
① 弁護士との委任契約は消費者契約にあたる。
② 委任者が受任者をその責めによらない事由によって解任したときは,委任の目的を達したものとみなし,報酬の全額を請求できるとするみなし報酬特約は,民法648条3項の特則にあたり,損害賠償額の予定または違約金の定めにあたる。
③ 平均的損害について,当該事件処理のために特別に出捐した代替利用の困難な設備,人員整備の負担,当該事件処理のために多の依頼案件を断らざるを得な かったことによる逸失利益については,通常の弁護士業務体制を想定した場合,本件遺産分割調停事件の受任のためにこのような損害が通常発生するとは言い難 い。
 当該事件にかかる委任事務処理費用の支出,当該事件処理のために費やした時間及び労力については,通常,着手金によってまかなうことが予定されている。
 本件委任契約の定める報酬を得ることができなかった逸失利益については,中途解約にかかる損害賠償額の予定を適正な限度に制限する9条1号の趣旨からは,民法130条の適用があり得ることは格別,平均的損害には含められない。

◆ H21.07.02京都地裁判決

判決年月日: 2009年7月 2日
2010年6月16日 公開

平成20年(ワ)第2307号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 辻本利雄,和久田斉,戸取謙治
控訴審 H21.12.03大阪高裁判決

【事案の概要】
マンション居室の敷金返還請求。敷引条項の有効性が争われた。借主が司法修習生であり法律的知識があるとして,10条違反にはならないと貸し主から主張された。

【判断の内容】
以下の理由から,本件敷引条項は10条違反であるとした。
① 本件敷引条項は,10条前段に該当する。
② 10条後段該当性については,法1条にかんがみ,当事者の属性,契約条項の内容,契約条項が具体的かつ明確に説明され消費者がその条項を理解できるものであったか等守株の事情を総合考慮して判断すべきである。
③ 借り主は法律知識を有していたことは認められるが,建物賃貸借上の諸条件に関する情報について一般の消費者以上の情報を有していたとは認められない。また,借り主は当該条項について交渉の余地がほとんどない。

◆ H21.06.19大阪高裁判決

判決年月日: 2009年6月19日
2010年7月8日 公開

平成20年(ネ)第3256号敷金返還等請求控訴事件
未登載

【事案の概要】
敷引特約を有効とした。
判例時報2066号84頁(H21.09.25京都地裁判決(1)の解説)に記載あり。

◆ H21.06.19東京地裁判決

判決年月日: 2009年6月19日
2010年6月16日 公開

平成20年(ワ)1275号立替金請求事件
判例時報2058号69頁,消費者法ニュース83号220頁,国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
裁判官 外山勝浩

【事案の概要】
医療機関との間で包茎手術とこれに付随するコラーゲン注入術の診療契約を締結した際,クレジット会社との間で治療費の立替払い契約を締結した事案。

【判断の内容】
当該手術が医学的に一般に承認された方法で行われると考えるのが通常であること,本件亀頭コラーゲン注入術が医学的に一定の効果を有するものであったとしても,当該術式が医学的に一般に承認されたものとはいえない場合には,その事実は4条2項の「当該消費者の不利益となる事実」に該当すること,本件亀頭コラーゲン注入術が医学的に一般に承認された術式と認めることが困難であり,逆に有用性については疑問が示され消費者被害救済の対象とされているものと認め られるとして,立替払い契約全部の取り消しを認めた。

◆ H21.06.16大阪高裁判決

判決年月日: 2009年6月16日
2010年6月16日 公開

平成21年(ネ)第527号敷引条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 渡邉安一、安達嗣雄、明石万起子
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 大和観光開発株式会社
第1審 H21.01.28京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が不動産賃貸業者に対し,10条違反である敷引条項の使用差止,及び差止に必要な措置を求めたところ,使用差止については業者が請求を認諾したため,差止に必要な措置の命令の可否が争われた事案

【判断の内容】
控訴棄却。
①従業員らに対して当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう指示することという主位的請求については,事業者に特定の作為を求める給付の訴えであり、債務名義として執行によって実現される事業者の義務を控訴人は明らかにする必要があるが、控訴人の請求は、当該条項を使用した意思表示を行うための事務を行わないよう指示を求めるだけであり、書面によることの要否等、その方法、程度、内容が一義的には明らかでなく、どのような措置をとれば法的義務を履行したことになるのか明らかでないことから、請求の特定を欠き不適法。
②予備的請求として、従業員らに対して、当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう周知徹底させる内容を記載した書面の配布を行うよう求めたことについて,被控訴人がその従業員等に対して、当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう周知徹底していること等を主張しているのに対し、控訴人は、被控訴人が当該条項を含んだ意思表示を行うおそれがあることを基礎付ける事実を何ら主張せず、被控訴人が当該条項を含んだ意思表示を行う蓋然性が客観的に存在していると認めることはできない。

◆ H21.06.04名古屋簡裁判決

判決年月日: 2009年6月 4日
2010年6月16日 公開

平成20年(少コ)第438号敷金等返還請求事件(通常訴訟手続に移行)
最高裁HP
裁判官 佐藤有司

【事案の概要】
建物賃貸借契約において,敷引条項を無効として返還請求を認めた事例。

【判断の内容】
以下の理由から,本件敷引条項は10条違反で無効として返還請求を認めた。
① 敷金は一般に賃貸借契約から生ずる賃借人の債務を担保するために賃借人から賃貸人に差し入れられたものであるから,賃借人に未払家賃,修繕費等の債務 がない場合には,他に合理的な理由がない限り,賃貸人は賃借人に返還する義務を負い,これと異なる定めは10条により無効になる。
② 本件で合理的理由はない。

◆ H21.06.04最高裁判決

判決年月日: 2009年6月 4日
2010年6月14日 公開

平成19年(受)第1987号保険金請求事件
最高裁HP,判例タイムズ1306号229頁,金融商事判例1334号9頁,判例時報2054号144頁,金融法務事情1884号48頁
裁判官 涌井紀夫,甲斐中辰夫,宮川光治,櫻井龍子,金築誠志

【事案の概要】
店舗総合保険契約に適用される普通保険約款中に,保険の目的が受けた損害に対して支払われる水害保険金の支払額につき上記損害に対して保険金を支払うべき 他の保険契約があるときには同保険契約に基づく保険給付と調整する旨の条項がある場合における,同条項にいう「他の保険契約」の意義

【判断の内容】
店舗総合保険契約に適用される普通保険約款の解釈について,一定の限定をした判決である。
宮川光治裁判官は補足意見で,保険約款が複雑で容易に理解し難いこと,損害保険料率算出機構作成の標準保険約款が保険実務に浸透していないこと,契約者で ある市民の合理的意思と乖離しない,分かりやすい約款の作成と保険実務における消費者保護の精神に沿った約款の解釈・運用が望まれると指摘した。



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