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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H22.03.11大阪高裁判決

判決年月日: 2010年3月11日
2010年6月27日 公開

平成21年(ネ)第2691号定額補修分担金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 紙浦健二,川谷道郎,神山隆一
原審 京都地裁判決平成20年(ワ)第3152号

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,定額補修分担金条項は10条に反し無効であるとして,契約締結時に支払った定額補修分担金25万円の返還を求めた事案

【判断の内容】
定額補修分担金条項が10条違反で無効として返還請求を認めた。
① 「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定」には,民法等の解釈に関する最高裁判所の判例も含まれる。
② 定額補修分担金条項が「射幸契約」であり10条後段要件に該当しないとの点は,情報格差のない対等な立場にある当事者が互いに駆け引きをしながら具体的な分担金額を決定するのであればよいが,本件ではそうではない。

◆ H22.02.25東京地裁判決

判決年月日: 2010年2月25日
2010年7月7日 公開

平成20年(ワ)第9322号,平成21年(ワ)第5693号各工事代金等請求事件
金融商事判例1338号21頁
裁判官 武笠圭志

【事案の概要】
LPガス供給設備の設置契約に,契約終了時のバルク設備の買取義務が規定されていた事案で,設置業者が買取代金を請求した事案。設置業者が,勧誘に際し顧客に買取義務を告知しなかったことが不利益事実の不告知にあたるかが争われた。

【判断の内容】
次の理由から,不利益事実の不告知による取消を認め請求を棄却した。
① 契約終了時にバルク設備の買取義務が発生すること及びその金額は当該契約の重要事項にあたる。
②設置に関して工事費その他の費用がかからないことを告げられたことにより,契約上買取義務が明記されているという事実が存在しないと通常考えると解するのが相当。

◆ H22.02.24大阪高裁判決

判決年月日: 2010年2月24日
2010年6月27日 公開

平成21年(ネ)第2690号更新料返還等,更新料反訴,保証債務履行請求控訴事件
金融商事判例1338号21頁,消費者法ニュース84号233頁
裁判官 安原清藏,坂倉充信,和田健
第1審 H21.09.25京都地裁判決(1)
上告審 H23.07.15最高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,更新料条項及び定額補修分担金条項はいずれも10条に反し無効であるとして,賃貸借契約中に3回にわたり支払った更新料合計22万8000円及び契約締結時に支払った定額補修分担金12万円の返還を求めた事案

【判断の内容】
更新料条項,定額補修分担金条項がいずれも10条違反で無効として返還請求を認めた。
更新料の収入を確保しようとするのであれば,端的に更新料相当分を賃料に上乗せした賃料の設定をして賃借人となろうとする者に提示し,賃借するか否かを選択させることが要請される。

◆ H22.02.19京都簡裁判決

判決年月日: 2010年2月19日
2010年6月27日 公開

平成21年(少コ)第194号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 谷澤和明

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,敷引条項が無効であるとして返還を求めた事例

【判断の内容】
敷引条項が無効であるとして返還請求を認めた。
消費者が契約内容を理解するよう努めるとの3条は努力義務であり,仮に違反があっても消費者契約法が適用されないことにはならない。

◆ H21.12.22名古屋地裁判決

判決年月日: 2009年12月22日
2010年6月27日 公開

平成20年(ワ)第6505号不当利得返還等請求事件
消費者法ニュース83号223頁,国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
裁判官 宮永忠明

【事案の概要】
原野商法被害者が,販売業者に対して支払った測量代,広告費用の返還を求めた事例。広告契約についての不実告知による取消が問題となった。

【判断の内容】
以下の理由から,広告契約について不実告知による取消を認め,広告費用の返還請求を認めた。
① 広告契約の締結について,本件土地の売却可能性は,4条1項1号,4条4項1号の「用途その他の内容」についての重要事項にあたる。
② 売却可能性が少なく広告掲載による原告の利得はない。

◆ H21.12.16東京地裁判決

判決年月日: 2009年12月16日
2011年2月4日 公開

平成21年(レ)第418号更新料請求控訴事件
LLI
裁判官 孝橋宏,安田大二郎,中澤亮

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,法定更新の場合にも更新料(1ヶ月分)条項が適用されるとして,更新料請求がされた事案。同条項が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から更新料請求を棄却した。
① 本件更新料条項は,合意により本件賃貸借契約を更新する場合を念頭に置いて締結されたものと解するのが自然であり,約定の記載から,双方が合意更新されるか法定更新されるかにかかわらず更新の際には更新料が支払われるとの意思を有していたものとは認め難い。
② 法定更新の制度は,賃借人が期間満了後に土地又は建物の使用を継続している場合に,賃貸人に更新拒絶の正当事由が備わらない限り賃借人による使用継続という事実状態を保護して賃貸借契約を存続させようとするものであり,賃借人に何らの金銭的負担なしに更新の効果を享受させようとするのが法の趣旨。
③ 賃貸人からの請求があれば,当然に賃借人に更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在することを認めるに足りる証拠はない。
④ 賃借人が司法修習生でありあえて合意更新を拒んだとしても,本件事情の下で信義則違反とまでは断じがたい。

◆ H21.12.15大阪高裁判決

判決年月日: 2009年12月15日
2010年6月27日 公開

平成21年(ネ)第2154号保証金返還請求控訴事件,同第2551号同附帯控訴事件
未登載
裁判官 一宮和夫,富川照雄,山下寛
原審 H21.07.30京都地裁判決
上告審 H23.07.12最高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,敷引条項が無効であるとして返還を求めた事例

【判断の内容】
敷引条項が無効であるとして返還請求を認めた。

◆ H21.12.10仙台高裁判決

判決年月日: 2009年12月10日
2010年9月28日 公開

平成21年(ネ)第第330号損害賠償請求控訴事件
消費者法ニュース84号389頁
裁判官 小磯武男,山口均,岡田伸太

【事案の概要】
商品先物取引業者に対する損害賠償請求。主位的に不法行為による損害賠償請求,予備的に断定的判断の提供による取消による不当利得返還請求を求めた事例

【判断の内容】
主位的請求について,断定的判断の提供による不法行為を認め過失相殺6割として賠償請求を認めつつ,予備的請求の断定的判断の提供による取消を認め,実損から主位的請求で認められた部分を除いた残額の返還請求を認めた。

◆ H21.12.03大阪高裁判決

判決年月日: 2009年12月 3日
2010年6月25日 公開

平成21年(ネ)第2005号敷金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 三浦潤,大西忠重,井上博喜
原審 H21.07.02京都地裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,保証金から一定の金額を解約引金として控除して返還するとの特約が10条違反であるとして返還を求めた事例

【判断の内容】
解約引条項が無効であるとして返還請求を認めた。

◆ H21.10.29東京高裁判決

判決年月日: 2009年10月29日
2011年2月4日 公開

平成19年(ネ)第1353号,平成19年(ネ)第3025号各大学年金受給権確認請求控訴,同付帯控訴事件
判例時報2071号129頁,労働判例995号5頁
裁判官 青柳馨,小林敬子,大野和明

【事案の概要】
私立大学が年金規則(私的年金)を改定し年金を減額したことに対し,受給者(退職者やその遺族)である原告らが,改定前の年金額を受給する権利の確認請求をした事案。一方的な年金規則の改定で減額できることについて10条違反か等が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から10条違反ではないとされた。
① 本件年金契約は終身定期金契約に類似した契約であるが,本件年金規則には,本件年金制度が超長期にわたり継続することを考慮して,経済変動や本件年金基金の財政状況等により本件年金制度の維持・存続のために必要な合理的な変更を許容する定めが置かれているのであって,給付内容を含め契約内容の変更があり得ない契約でないことは明らか。
② 本件年金制度における大学の拠出は,教職員の福利厚生,功労報償としての性格が強いもので,積立不足が生じた場合に大学がこれを負担すべきものとはされていない。
③ 本件年金規則の改正により給付額の減額が可能であったからといって,大学が何らの制限も受けず,自由に本件年金規則の規定を改定することは許されず,本件年金制度の維持,存続のため,あるいは同制度の目的を達成するため,合理的な裁量の範囲に限って改定が許されるにすぎない。



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