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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H22.06.29東京高裁判決

判決年月日: 2010年6月29日
2011年2月4日 公開

平成21年(ネ)第4582号,平成22年(ネ)第904号各受信料請求控訴,付帯控訴事件
LLI
裁判官 稲田龍樹,原啓一郎,近藤昌昭

【事案の概要】
NHKの受信料請求訴訟。受信機を廃止しない限り放送受信契約の解約を禁止している条項が10条違反かが争われた。

【判断の内容】
放送法32条が,他の法律に別段の定めがある場合にあたり,11条2項により,10条が適用される余地はないとした。

◆ H22.06.11東京地裁判決

判決年月日: 2010年6月11日
2013年9月11日 公開

平成21年(ワ)第41032号敷金返還等請求事件、建物明渡請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 綿引穣

【事案の概要】
 建物の賃借人からの敷金返還請求及び違約金条項(賃借人より契約締結後2年未満に解約・解除等がされたときは,賃借人は賃料・共益費の1か月分を支払う旨の条項)に基づき支払った違約金の返還請求。違約金条項が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 本件違約金条項を無効とし、返還請求を認めた。
① 本件においては,賃借人からの解約申し出後2か月で賃貸借契約が終了する旨の特約が別途存在するから、賃貸借契約が2年以内に解約されることにより,賃貸人に特段の不利益があるとは考えられない。
② 本件賃貸借は居住用マンションの賃貸借であるが,その契約時期は,平成20年2月であるところ,一般的には,4月に居住用マンションの新規需要が生じるのであるから,契約後2年間の契約期間に特段の意味はない。
 以上から、消費者の利益を一方的に害するものとして、本件違約金条項は無効というべき。

◆ H22.05.28東京地裁判決

判決年月日: 2010年5月28日
2013年9月11日 公開

平成21年(レ)第324号損害賠償請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 佐久間邦夫、石原直弥、牛尾可南

【事案の概要】
 被控訴人が控訴人との間でパチンコの攻略情報の売買契約を締結したが、同契約は、断定的判断の提供によるものであり、この攻略情報を用いれば確実に利益を得ることができると誤認して締結したものであり、消費者契約法4条1項2号に基づいて取り消した、錯誤による無効である、上記のような勧誘行為は詐欺行為であるから取り消したなどと主張して不当利得の返還を請求したところ、原審が請求を認容したことから、控訴人が控訴した事案。契約日から半年以上経過した後に取消の意思表示をしていたことから、消滅時効の点も争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、業者の控訴を棄却した。
① 本件契約は,控訴人が被控訴人に対し,パチンコの打ち方の手順等の情報を提供するものであり,これによって,被控訴人にパチンコで経済的利益を得させることを目的とした契約であると認められる。
② 一般的に,パチンコは,各台の釘の配置や角度,遊技者の玉の打ち方や遊技時間,台に組み込まれて電磁的に管理されている回転式の絵柄の組み合わせなどの複合的な要因により,出玉の数が様々に変動する遊技機であり,遊技者がどのくらいの出玉を獲得するかは,前記のような複合的な要因に左右され,偶然性が高いから、控訴人が本件契約において提供すると約した情報は,将来における変動が不確実な事項に関するものにあたる。
③ 控訴人は,自社のホームページにおいて、控訴人の提供する情報を使えば,利益を上げることができ,かつ,その情報自体が信用性の高いものである旨表示していた。
 また,攻略法を利用した場合に得られる利益について、クレジットカードの一括払いを利用しても決済日までにはその額に相当する利益を上げることが可能である旨述べるなど、控訴人が提供する攻略情報の手順に従った打ち方をすれば,短期間で,かつ,別の機種の攻略情報も購入可能な程度の利益を得ることができるという趣旨の発言をしていること、効果が上がらない場合には,現地調査に赴き,控訴人の従業員が確認作業を行うという記載のある保証規約書を交付するなどしていることからは、控訴人は,控訴人が提供する攻略情報を使えば,将来の出玉によって利益を得ることが確実であるとの言動を示したものということができ,控訴人による勧誘は,被控訴人に対して断定的判断を提供したものといえる。
④ 被控訴人は,(契約日から約1年後の)平成20年7月9日に司法書士との会話の中でパチンコの攻略情報が存在しないことを知ったのであり,それ以前の段階で,被控訴人が,消費者契約法上の取消事由が存することを認識していたと認めるに足りる的確な証拠はなく,控訴人の主張は採用できない。

◆ H22.05.27大阪高裁判決

判決年月日: 2010年5月27日
2010年6月27日 公開

平成21年(ネ)第2548号更新料支払請求控訴事件
未登載
裁判官 紙浦健二,川谷道郎,宮武康
第1審 H21.09.25京都地裁判決(3)

【事案の概要】
居室賃貸借契約における更新料請求。更新料条項が10条違反かが争われた。

【判断の内容】
以下のように判断し,更新料請求を棄却した原判決を維持した。非常に詳細に検討がなされている。
① 更新料がいかなる性質のものであるかは,当該賃貸借契約成立後の当事者双方の事情,当該更新料の支払の合意が成立するに至った経緯その他諸般の事情を総合考慮したうえ,具体的事実関係に即して判断されるべきもの。
② (更新料発生経緯からの検討)昭和30年代末ころ以降地価の高騰が激しかった当時においては,長期間の賃貸借契約の場合に賃料に反映させることができ ず更新料として回収がはかられ,高騰が続いていた当時においては合理性がないとまでは言えないが,地価の高騰がおさまりむしろ賃料の横ばい,下落が認めら れるようになった平成18年時点においては合理性はなく,賃貸人の利益確保を狙った不合理な制度である。
③ (更新料の性質からの検討)賃料の補充,更新拒絶権の放棄の対価,賃借権強化の対価の性質も認められない。
④ 更新料が社会的承認を得ているとは言えない。生活保護において更新料が扶助されているとしても,それは更新料を合理的な制度と認めているものではない。
⑤ 本件更新料条項は,10条前段,後段を満たす。更新料条項はいわゆる中心条項ではない。

◆ H22.04.26東京地裁判決

判決年月日: 2010年4月26日
2011年2月4日 公開

平成21年(レ)第445号更新料支払等請求控訴事件
LLI
裁判官 澤野芳夫,大原純平,野中伸子

【事案の概要】
建物賃貸借契約における更新料請求。賃借人が外国語授業を業とする株式会社であり,連帯保証人が代表取締役となっていた。10条類推適用の有無が争われた。

【判断の内容】
以下のように判断し,類推適用を否定した。
消費者契約法は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,一定の場合に消費者を保護することを目的とする法律である(同法1条)。確かに,事業者同士であっても,その事業の内容により,情報及び交渉力に格差が存在する場合がある。しかしながら,消費者契約法は,法人その他の団体や事業として又は事業のために契約の当事者となる個人は,その事業の内容にかかわらず,自らの事業を実施する上で行う取引に関しては,情報を収集し,また交渉力を備えることが十分に期待できることから,その事業の内容を特段考慮せず「消費者」と「事業者」を明確な基準により分け(同法2条),「消費者」を保護の対象とし「事業者」を保護対象から外したものと解される。そうすると,仮に契約の一方当事者である事業者が,他方当事者である事業者と比べ,相対的に当該契約締結に関し情報及び交渉力の点で劣っていたとしても,当該契約に同法は類推適用されないと解すべきである。

◆ H22.03.30最高裁判決(2)

判決年月日: 2010年3月30日
2010年6月27日 公開

平成20年(受)第909号損害賠償,立替金請求事件
最高裁HP,裁判所時報1505号145頁,判例タイムズ1321号88頁,金融商事判例1341号14頁,1344号14頁,判例時報2075号32頁,国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
裁判官 藤田宙靖,堀籠幸男,那須弘平,田原睦夫,近藤崇晴
第一審 H19.05.22札幌地裁判決平成18年(ワ)第1096号、同第1396号
控訴審 H20.01.25札幌高裁判決

【事案の概要】
金の先物取引の勧誘を受けて契約し損害を被った者からの委託証拠金の返還請求と,業者からの差損金請求の反訴。断定的判断の提供,不利益事実の不告知による取消が争われた。

【判断の内容】
① 断定的判断の提供は認められない。
② (不利益事実の不告知について)
 4条2項本文にいう「重要事項」とは,4条4項において,当該消費者契約の目的となるものの「質,用途その他の内容」又は「対価その他の取引条件」をい うものと定義されているのであって,4条1項2号では断定的判断の提供の対象となる事項につき「将来におけるその価額,将来において当該消費者が受け取る べき金額その他の将来における変動が不確実な事項」と明示されているのとは異なり,4条2項,4項では商品先物取引の委託契約に係る将来における当該商品 の価格など将来における変動が不確実な事項を含意するような文言は用いられていない。そうすると,本件契約において,将来における金の価格は「重要事項」 に当たらないと解するのが相当。

◆ H22.03.30最高裁判決(1)

判決年月日: 2010年3月30日
2010年6月27日 公開

平成21年(受)第1232号学納金返還請求事件
最高裁HP,裁判所時報1505号148頁,判例タイムズ1323号102頁,判例時報2077号44頁、国センHP(消費者問題の判例集)
裁判官 田原睦夫,藤田宙靖,堀籠幸男,那須弘平,近藤崇晴
第一審 大阪地裁平成19年(ワ)第4451号
控訴審 H21.04.09大阪高裁判決

【事案の概要】【判断の内容】
専願等を資格要件としない大学の推薦入試の合格者が入学年度開始後に在学契約を解除した場合において,学生募集要項に,一般入試の補欠者とされた者につき 4月7日までに補欠合格の通知がない場合は不合格となる旨の記載があるなどの事情があっても,授業料等不返還特約は有効であるとされた事案

◆ H22.03.26奈良地裁判決

判決年月日: 2010年3月26日
2010年9月28日 公開

平成20年(ワ)第1084号不当利得返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン、消費者法ニュース84号293頁、証券取引被害判例セレクト37巻175頁
裁判官 宮本初美
控訴審 H22.10.08大阪高裁判決

【事案の概要】
インターネットで株取引を行い損失が生じていた主婦が,ネット上で見つけた投資相談電話に電話したところ,投資顧問契約を締結し会費200万円を支払わされたことについて,断定的判断の提供による取消等を主張し返還を求めた事案。

【判断の内容】
過去に受けた損失500万円及び会費200万円も含め700万円を取り戻すことができるとして勧誘を受けたものと認定し,断定的判断の提供による投資顧問契約の取消を認め,不当利得返還請求を認めた。

◆ H22.03.26大阪高裁判決

判決年月日: 2010年3月26日
2010年6月27日 公開

平成21年(ネ)第2692号定額補修分担金条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 三浦潤,中村昭子,森宏司
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社長栄
第1審 H21.09.30京都地裁判決
強制執行 H23.11.24京都地裁決定

【事案の概要】
適格消費者団体が,不動産賃貸業及び不動産管理業を目的とする事業者である被告に対し,定額補修分担金条項が10条に反して無効であるとして,定額補修分担金条項を含む意思表示をすることの差止め及び同条項を含む契約書用紙の破棄等を求めた事案

【判断の内容】
① 41条1項の事前の書面による請求は,事業者等に対し早期に取引の実情を把握して自ら是正する機会を与えるとともに,これにより紛争の早期解決と取引の適正化を図る観点から,訴訟に先立ち請求することを義務づけたものであり,同項及び同法施行規則32条1項に定められた事項以外の事項が記載されていたからといって事前の書面による請求にあたらないとはいえない。
② 定額補修分担金条項は10条に反して無効。
③ マスコミを通じて使用しないことを表明していても,経営判断が状況に応じて変転する可能性も高く,また,10条違反性を強く争っている以上,使用する恐れがあるといえる。
④ 合意更新の際には,定額補修分担金条項を含んだ契約の申し込みまたは承諾の意思表示があるものとは認められない。
⑤ 従業員への指示を求める請求は,特定として欠けるところはない。
⑥ 2年近く使用していないこと等から,従業員らへの指示の必要性はない。

◆ H22.03.18さいたま地裁判決

判決年月日: 2010年3月18日
2013年9月16日 公開

平成21年(レ)第167号敷金返還請求控訴事件
最高裁HP
裁判官 佐藤公美、 髙橋光雄、 川﨑慎介

【事案の概要】
 ペット可の建物賃貸借契約の際に差し入れた定額補修費8万円の返還請求。定額補修費を支払うとの条項が10条により無効となるか、前払した賃料及び共益費のうち明渡し日の翌日以降退去月の末日までの分を返還しないとする契約条項(日割精算排除条項)が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 いずれも10条により無効とはならないとしつつ、一定の範囲で返還請求を認めた。
① 定額補修費は実際にかかった補修費との差額について返還すべきものであり、不返還の合意があるなどの事情がない限りは差額を返還すべき。本件ではそのような合意はない。
② 本件補修費用は,いずれも本件貸室の修復費用であり,その中に通常損耗の原状回復費用を含むものであるところ,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予測しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明示されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当(最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決・判例タイムズ1200号127頁)。
③ 本件補修費用のうち、ペット飼育に掛かる汚損・破損の補修費については明確な合意があるから定額補修費から支出すべきものであるが、それ以外の支出は明確な合意がなく、控除すべきでない。
④ 本件定額補修費の合意は、敷金類似の金銭預託契約であり、本件契約には他に権利金や敷金の支払いもないこと、ペット飼育できることとして2000円の賃料増額がなされているが、これはペット飼育できることの利益についての対価でありそれ以上にペット飼育に伴う賃借物件の劣化又は価値の減少を補填する趣旨を含むものではないこと等から、10条に反しない。
⑤ (日割精算排除条項について)本件日割精算排除条項及び退去条項からは、解約の意思表示が貸主に到達してから最大3カ月分の賃料を支払うことになるが、本件契約は期限の定めがあり本来一方的に解約することができないこと、期間の定めのない建物賃貸借の場合解約申し入れから3カ月後に終了することからは、10条には反しない。



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