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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H17.10.14枚方簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(ハ)第181号敷金返還請求事件,第665号同反訴請求事件
消費者法ニュース66号207頁,国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 淵脇洋

【事案の概要】
敷金25万円の返還請求に対し,敷引特約(敷金25万円,敷引25万円)が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
本件敷引特約が,賃借人の故意過失によらない損耗までその費用を負わせるものであること,賃借人には敷引特約のない物件を自由に選択できる状況にないのが 現状であること,いわば賃借人の無知を利用して賃貸人の有利な地位に基づき一方的に賃借人に不利な特約として締結されたものであり賃借人の真の自由意思に よったものとはいえず,信義に反する等として,10条に違反するとし,返還請求を認めた。

◆ H17.09.30大阪地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第72号受講料等返還請求控訴事件
消費者法ニュース66号209頁
裁判官 三代川俊一郎,金田洋一,三芳純平
第1審 H17.01.27東大阪簡裁判決

【事案の概要】
こども英会話講師養成認定資格の受講契約を締結し,入会金と受講料を振り込んだが,受講前に解約し,入会金と受講料の返還を求めた。

【判断の内容】
次の理由から,入学金2万円を除く既払い金25万円の返還請求を認めた。
① 本件受講契約は準委任契約である。
② 不解除条項は10条違反であり無効である。
③ 不返還条項は9条1号の趣旨に反する。
④ 入学金2万円は約定のクーリングオフ期間中申込者の受講枠を確保する対価(権利金)の性質を有する。
⑤ 入学金部分について平均的損害を超えることの立証がない(9条1号の「平均的な損害」の立証責任が消費者にあることを前提)。

◆ H17.09.27京都地裁判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第2571号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 水上敏

【事案の概要】
敷金20万円余りの返還を求めた。原状回復条項が公序良俗違反,10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
本件賃貸借契約が消費者契約法施行後に合意更新されていることから同法の適用を受けるとし,自然損耗分を借主負担と定めた部分を10条に違反するとし,返還請求を認めた。

◆ H17.09.09東京地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第67号不当利得返還請求控訴事件
最高裁HP国セン報道発表資料HP2006年10月6日,判時1948号96頁
裁判官 藤山雅行,大須賀綾子,筈井卓矢

【事案の概要】
挙式予定日から1年以上前に結婚式場の予約をし,その数日後に予約を取り消した場合において,予約金10万円の返還を認めない条項は10条,9条1項により無効であるとして,不当利得による返還請求をした。

【判断の内容】
挙式予定日の1年以上前から得べかりし利益を想定することは通常困難であり,仮にこの時点で予約が解除されたとしてもその後1年以上の間に新たな予約が入 ることも十分期待し得る時期にあることも考え合わせると,その後新たな予約が入らないことにより被控訴人が結果的に当初の予定どおりに挙式等が行われたな らば得られたであろう利益を喪失する可能性が絶無ではないとしても,そのような事態はこの時期に平均的なものとして想定し得るものとは認め難いとして,本 件取消料条項は9条1号により無効であるとし,返還請求を認めた。

◆ H17.09.07富山簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(少コ)第48号キャンセル料請求事件
消費者法ニュース65号164頁,66号93頁
裁判官 大西守

【事案の概要】
ペンション経営者がインターネット広告掲載申込契約を締結し13日後にキャンセルをしたところ,約款に基づき70パーセントのキャンセル料を請求された。キャンセル料について合意が成立しているか否かが争われた。
事業者であり消費者契約法の適用がない事案。

【判断の内容】
被告にとって極めて不利益な条項であるにもかかわらず,キャンセル料について十分に説明を行ったと認めるに足りる証拠はなく,被告が書面上承諾したとの外 形事実があることをもって,被告の真摯な承諾があったと認めることはできない,として,合意があったと認められないとし,請求を棄却した。

◆ H17.09.06名古屋簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ハ)第3907号立替金請求事件
未登載
裁判官 河野文孝

【事案の概要】
浴衣を買いに来た客に対し,高額な喪服セットの購入を長時間勧誘しクレジット契約を締結させた事案で,クレジット会社から立替金請求がなされた。4条3項本文,同項2号及び5条1項による取消が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,4条3項2号,5条1項により,立替払契約の取消を認めた。
① 4条3項2号の「退去する旨の意思を示した」とは,消費者契約法の目的からは,「時間がない,用事がある,要らない」等の間接的に退去の意思を示す場 合が含まれ,「その場所から当該消費者を退去させないこと」とは,退去の意思の表示があったのに,当該消費者を当該場所から退出させるのを困難にさせた場 合を広く意味し,当該消費者にとって心理的にでも退去させない状況になっていれば足りる。
② 本件では,午後2時から3時ころから午後11時ころまでの勧誘であったこと,夕方6時に保育園に子どもを迎えに行く用事があったこと,「要らない」と告げていること,相談センターに相談が相当数寄せられていたことなどから,4条3項2号にあたる。
③ 当該勧誘・契約締結の6日後に書換をしているが,その際も取消を要請したにもかかわらず断られた経緯からは,当初の勧誘による困惑が継続していたものであり,取り消しうる。

◆ H17.08.25東京地裁判決

2010年5月29日 公開

平成15年(ワ)第21672号,第24133号
LLI
裁判官 柴崎哲夫

【事案の概要】
不動産業者から土地購入及び建物建築請負契約を併せて締結したが,住宅ローンが通らない場合には売買請負両契約が解除となるとの条項があったところ,住宅ローンが通らず解除となったため,手付金合計300万円の返還を求めた。
原告被告の間に入って交渉した第三者の地位,解除条項の解釈,及び不実告知(4条1項1号)が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,4条1項1号,5条1項により,売買・請負契約の取消を認め,不動産業者に手付金300万円の返還を命じた。
① 間に入って交渉した第三者は,委託を受けた第三者(5条1項)にあたる。
② 第三者が,解除条項について,本来であれば解除できないのに解除できるかのように説明しており,不実告知(4条1項1号)にあたる。

◆ H17.08.25新潟地裁長岡支部判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第139号立替金請求事件
未登載
裁判官 水田誠一
控訴審 H18.01.31東京高裁判決

【事案の概要】
学習教材の訪問販売における,信販会社からの立替金請求。
すでに別の業者から教育役務の提供を伴う学習教材を購入していた者に対し,別業者が訪問して他の業者の教材が古いこと,自分のところでも教育役務の提供を していること,他の業者についてこのようにすれば解約でき,返戻金で教材を購入できると告げたことが,不実告知にあたるか否かが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,4条1項1号により教材売買契約の取消を認め,割賦販売法30条の4の抗弁対抗を認めた。
① 教育役務の提供の有無は,本件教材売買契約においては重要事項であるところ,不実告知がなされた。
② 教材購入の資金調達方法は,本件教材売買契約においては重要事項であるところ,業者の指示どおりにしても解約ができず資金調達ができなかったのであり,不実告知がなされた。

◆ H17.07.21東京地裁判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第21104号
LLI
裁判官 杉山正己,瀬戸口壯夫,大畠崇史

【事案の概要】
大学入学を辞退した原告らが入学金・授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
以下の理由から,授業料の返還請求を認めた。
① 入学金の法的性質について,それ以外の趣旨を含むとの特段の事情のない限り,学生としての地位を取得する対価であるから,その返還を請求することはできない。
② 授業料について,4月1日以降の入学式前の時点で辞退した原告も含めて,平均的損害が生じたことをうかがわせる証拠はないから,その返還を要しないとする規定は全部無効であり,その返還を請求することができる。

◆ H17.07.20東京高裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(ネ)第1333号解約精算金請求控訴事件
消費者法ニュース65号163頁,国センくらしの判例集HP2005年7月
裁判官 雛形要松,都築弘,中島肇
第1審 H17.02.16東京地裁判決

【事案の概要】
外国語会話教室において,レッスンを受講するためのレッスンポイントを事前に一括して購入することとされ,その料金は購入ポイント数が多くなればなるほど 単価が安くなる制度が採用されている一方,途中解約する場合には,当初の単価ではなく,消化済みのレッスンポイントと同程度のコースの契約時単価(購入時 よりも割高となる)を単価として精算することとされている約款が,特定商取引法49条2項1号イに違反して無効であるとして,精算金を請求した。教室側 は,約款の合理性を主張した。

【判断の内容】
原審と同じ。
以下の理由から,精算金の不足分についての返還請求を認めた。
① 特定商取引法49条2項の趣旨は,継続的役務取引において,中途解約を申し出た者に対し,事業者が控除できる金額の上限規制をもうけることにより,役 務受領者が高額の請求をおそれて中途解約権の行使をためらうことがないようにして,中途解約権を実質的にも行使可能なものとするところにある。
② 事業者が役務の対価を前払金として受領しており,役務受領者の中途解約があり,その受領済みの前払金の中からすでに提供された役務の対価に相当する部 分を控除して返還するという場合において,前払金の授受に際して役務の対価に単価が定められていたときは,その単価に従って提供済みの役務の対価を算出す るのが精算の原則となる。教室側の主張する理由はいずれも合理性がなく,当該約款が特定商取引法49条2項1号イに違反し無効である。



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