【レイアウトの手動変更】

レイアウトの種類は目安です。
【レイアウト】と【文字サイズ】を変更し、最適な閲覧環境でご覧ください。


PC・タブレット横に最適
タブレット縦に最適
ファブレット・スマホ横に最適
スマホ縦に最適
※設定は90日間有効です。
×
 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H18.01.30京都地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(ワ)第784号不当利得返還請求事件
最高裁HP
裁判官 衣斐瑞穂
控訴審 H18.09.08大阪高裁判決

【事案の概要】
外国語会話教室において,レッスンを受講するためのレッスンポイントを事前に一括して購入することとされ,その料金は購入ポイント数が多くなればなるほど単価が安くなる制度が採用されている一方,途中解約する場合には,当初の単価ではなく,消化済みのレッスンポイントと同程度のコースの契約時単価(購入時よりも割高となる)を単価として精算することとされている約款が,特定商取引法49条2項1号イに違反して無効であるとして,精算金を請求した。教室側は,約款の合理性を主張した。

【判断の内容】
以下の理由から,精算金の返還請求を認めた。
① 本件規定は特定商取引法49条2項,同法49条7項の規制を受ける。
② 合理的な理由なく契約締結時ないし前払金の受領時に適用された単価と異なる単価を用いることは,これにより,役務受領者に対し,契約締結時ないし前払金の受領時に適用された単価を用いて精算を行う場合に比較して高額の金銭的負担を与える場合には,実質的に,役務提供事業者に特定商取引法49条2項1号が許容する金額以上の請求を認めるものであり,特定商取引法が許容しない違約金ないしこれに類する金員を請求するものであるとして,同約款規定は無効である。

◆ H17.12.22京都地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第67号敷金返還請求控訴事件
http://www.geocities.jp/blackwhitelaw/
第1審 H17.07.12京都簡裁判決
上告審 H18.05.24大阪高裁判決

【事案の概要】
敷金返還請求に対し,賃貸人は,退去時に全内装分室内のカーペットの張替え,クロスの張替え,畳・襖の張替え及び退室清掃その他修復費用金額を居住年月日 に関係なく,敷金より差し引くものとし,内装修復個所は居住日数に関係なく借主の復元責任とする原状回復特約を主張した。

【判断の内容】
通常損耗部分の原状回復費用を借主が負担することの合意は成立していないとして,敷金返還請求を認めた。

◆ H17.12.06大阪簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(ハ)第70334号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 堤秀起

【事案の概要】
敷金35万円の返還を求めた。25万円を敷金から差し引くとの敷引条項が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,24万5000円の返還請求を認めた。
① 敷引について,賃貸借契約成立の謝礼,更新料の免除の対価,空室損料の要素に関しては敷引金の負担を強いることに正当な理由はない。
② 賃料を低額にすることの代償との主張について,関西地方での敷引が長年の慣習となっており慣習自体不合理なものであるとは言えず,関西地方では敷引があることを前提に賃料が低く設定されていると見ることができる。
③ 敷引特約は,保証金の額,敷引金額や控除割合,契約期間等を総合考慮して,敷引金の額が適正であればその限度で有効であり,適正額を超える部分についてのみ10条違反となる。
④ 本件では,保証金の約71%(賃料の約4ヶ月分)を控除していること,契約期間が1年との事情から,適正な敷引金はせいぜい保証金の3割の10万5000円である。

◆ H17.11.29東京簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(少コ)第2807号敷金返還請求(本訴,通常手続移行),同年(ハ)第19941号損害賠償請求(反訴)
最高裁HP国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 行田豊

【事案の概要】
敷金返還請求。自然損耗部分の修繕費用を借主の負担とする条項が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,本件原状回復条項が10条に違反するとして,全額の返還請求を認めた。
① 自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは,借主に二重の負担を強いることになり,信義則に反する。
② 本件原状回復条項は,自然損耗等に係る原状回復についてどのように想定し,費用をどのように見積もるのか,借主に適切な情報が提供されておらず,貸主 が汚損,破損,あるいは回復費用を要すると判断した場合には,借主に関与の余地なく原状回復費用が発生する態様となっている。このように,借主に必要な情 報が与えられず,自己に不利益であることが認識できないままされた合意は, 借主に一方的に不利益であり,この意味でも信義則に反するといえる。

◆ H17.11.28明石簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(ハ)第392号敷金返還請求事件
兵庫県弁護士会HP国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 神吉正則

【事案の概要】
解約引(敷引)された25万円の返還を求めた。敷引条項が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,全額の返還請求を認めた。
本件敷引条項は,賃借人に対し賃料以外の金銭的負担を負わせるものであること,敷引が関西地方で長年の慣行になっている,その他,敷引の合理性として主張 する点(謝礼,自然損耗の修繕費用,更新料免除の対価,空室補償,賃料を低額にすることの代償)について,いずれも合理性を認めがたいこと等より,本件敷 引特約は10条違反である。

◆ H17.11.08東京地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第253号情報料返還請求控訴事件
判時1941号98頁,判例タイムズ1224号259頁
裁判官 水野邦夫,齊木利夫,早山眞一郎

【事案の概要】
パチンコ攻略情報について,売主から「100パーセント絶対に勝てる」等と勧誘を受けた買主が,代金の返還請求をした。断定的判断の提供(4条1項2号)に当たるか否かが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,4条1項2号による取消を認め,全額の返還請求を認めた。
① 常に多くの出玉を獲得することができるパチンコの打ち方の手順の情報は,将来における変動が不確実な事項に関するものにあたる。
② 「100パーセント絶対に勝てる」等の勧誘は,断定的判断の提供にあたる。
③ 買主は100パーセント勝てるとの内容に疑いを抱いていたとはいえ,売主の勧誘によって確実であると誤信したと認定。
④ 買主が自ら射幸的目的をもって行動していたとはいえ,これは基本的には売主の広告や勧誘の結果と評価すべきであり,返還請求を認めたとしても消費者保護の精神から逸脱するとはいえない。

◆ H17.10.28名古屋簡裁判決

2010年5月29日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日

【事案の概要】
旅行主任者教材セットを購入した被告(消費者)が,原告の勧誘内容の不自然さに気付き,契約解除をしたところ,原告は解約料を支払わないと解約できないと解約に応じず,売買代金の支払を求めた。

【判断の内容】
原告が被告に対し,本件契約締結の勧誘に際し,本件契約代金等を5年後に,ある協会に申請すれば特別奨励金として返還されると告げ,被告はそのような事実がないのにあると誤認して契約を締結したとして,不実告知による取消を認め原告の請求を棄却した。

◆ H17.10.24福岡地裁判決

2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第36号敷金返還等請求控訴事件
未登載
裁判官 野尻純夫,川﨑聡子,森中剛

【事案の概要】
敷金22万5000円他の返還を求めた。入居期間の長短を問わず75%を敷金から差し引くとの敷引条項が公序良俗違反,10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
敷引について,新たなる賃借人のために必要となる賃貸物件の内装等の補修費用の負担等について,賃貸人と賃借人との間の利害を調整し,無用な紛争を防止す るという一定の合理性があることは否定できないとしつつ,自然損耗部分について賃借人に二重に負担させることになってしまうとし,実際に補修工事費用とし て賃貸人が挙げているものについて目的物の通常の使用に伴う自然損耗を超える損耗の補修に要する費用であると直ちに断定しがたいこと等からは,75%もの 敷引には正当な理由がないとし,前述の一定の合理性があることに鑑みて,敷金の25%を超えて控除するとの部分を10条に反して無効であるとして,その 75%の部分について返還請求を認めた(一部無効)。

◆ H17.10.21大阪地裁判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第5920号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 瀧華聡之,堀部亮一,芝本昌征

【事案の概要】
ファッションに関する専門学校に入学した原告が,入学申込手続にあたり被告から受講課程の内容が実際とは違っていた点や,卒業生の就職率が100%であると説明を受けた点が不実告知,不利益事実の不告知にあたるとして4条1項1号,2項による在学契約の取消を主張した。
また,入学後に退学をしたことにより,学納金の返還を請求し,不返還条項が9条1号,10条に反するかどうかが争われた。

【判断の内容】
①不実告知,不利益事実の不告知については事実が認定できない。
②本件専門学校の在学契約は無名契約である。
③入学金は,在学契約を締結できる資格を取得し,これを保持しうる地位を取得することに対する対価とし,かかる地位をすでに取得した以上返還を求めることはできない。
④「平均的な損害の額」(9条1号)とは,同一事業者が締結する多数の同種契約事案について,類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額をいう。
⑤本件では,ひとつながりのカリキュラムの部分について平均的損害が認められるとして,授業料,教育充実費,施設・設備維持費の1カリキュラム分(半年分)を超える部分について,9条1号に違反するとして,返還請求を認めた。
⑥10条違反は否定した。

◆ H17.10.18佐世保簡裁判決

2010年5月29日 公開

平成16年(ハ)412号求償金請求事件
未登載
裁判官 大家嘉朗

【事案の概要】
この化粧品を使えば10代の肌のようになり,しみもしわもなくなってきれいになる,併用して青汁を飲めばアトピーが治ると告げられ,提携ローンにより化粧 品と青汁を購入した者に対する,信販会社からの求償金請求に対し,不実告知,不利益事実の不告知等を理由として取消を主張した。

【判断の内容】
①この化粧品を使えば10代の肌のようになり,しみもしわもなくなってきれいになるとの説明について,表示自体が一義的でなく,主観的要素を多分に含むので不実告知にあたらないとした。
②健康食品に医薬品的効能があるなど医薬品等との混同が生ずるような広告,表示は,それ自体事実でないというべきであるとし,化粧品と併用して青汁を飲めばアトピーが治ると告げたことが不実告知にあたるとして取消を認めた。
③契約から約11ヶ月後に取消の意思表示をした点について,誤認に気づいてから起算すればまだ6ヶ月を経過していないとして,信販会社の時効主張を排斥した。
④信販会社からの4条5項の「第三者」にあたるとの主張を排斥して,抗弁の対抗(割賦販売法30条の4)を認めた。



ひとつ前のページにもどる弁護士法人 近江法律事務所|トップページにもどる