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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H21.12.16東京地裁判決

2011年2月4日 公開

平成21年(レ)第418号更新料請求控訴事件
LLI
裁判官 孝橋宏,安田大二郎,中澤亮

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,法定更新の場合にも更新料(1ヶ月分)条項が適用されるとして,更新料請求がされた事案。同条項が10条違反かどうかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から更新料請求を棄却した。
① 本件更新料条項は,合意により本件賃貸借契約を更新する場合を念頭に置いて締結されたものと解するのが自然であり,約定の記載から,双方が合意更新されるか法定更新されるかにかかわらず更新の際には更新料が支払われるとの意思を有していたものとは認め難い。
② 法定更新の制度は,賃借人が期間満了後に土地又は建物の使用を継続している場合に,賃貸人に更新拒絶の正当事由が備わらない限り賃借人による使用継続という事実状態を保護して賃貸借契約を存続させようとするものであり,賃借人に何らの金銭的負担なしに更新の効果を享受させようとするのが法の趣旨。
③ 賃貸人からの請求があれば,当然に賃借人に更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在することを認めるに足りる証拠はない。
④ 賃借人が司法修習生でありあえて合意更新を拒んだとしても,本件事情の下で信義則違反とまでは断じがたい。

◆ H22.06.29東京高裁判決

2011年2月4日 公開

平成21年(ネ)第4582号,平成22年(ネ)第904号各受信料請求控訴,付帯控訴事件
LLI
裁判官 稲田龍樹,原啓一郎,近藤昌昭

【事案の概要】
NHKの受信料請求訴訟。受信機を廃止しない限り放送受信契約の解約を禁止している条項が10条違反かが争われた。

【判断の内容】
放送法32条が,他の法律に別段の定めがある場合にあたり,11条2項により,10条が適用される余地はないとした。

◆ H22.09.16神戸地裁判決

2011年1月27日 公開

平成22年(レ)第183号違約金請求控訴事件
未登載
裁判官 栂村明剛,木太伸広,藪田貴史
原審 神戸簡裁平成21年(少コ)第116号

【事案の概要】
結婚式及び結婚披露宴を開催する契約を締結し、同結婚式等で使用する予定であったウェディングドレスの売買契約(セミオーダー)もあわせて契約した。このドレス売買契約については、契約してから10日までは自由にキャンセルできるが、それ以降のキャンセルの場合、売買代金100%の違約金が発生するという条項があり、その点についての確認書が取られていた。
ところが、結婚式等当日の84日前,ドレス契約日から35日後に,消費者の申出により結婚式等の開催契約が解除された。
そこで、結婚式場が、主位的に売買代金請求、予備的に違約金請求として,売買代金(ないし違約金)31万5000円の支払を求めた。

【判断の内容】
結婚式場が、本件ドレスの製作代金としてメーカーに支払った金額は,11万3400円であり、それ以上の積極的損害を何ら具体的に主張していないことにも鑑みると,結婚式場に生じた本件ドレス契約の効力喪失に伴う積極的損害はそれに尽きているとみることができる。
本件ドレスの発注についても実質的にはメーカーと消費者との間を媒介しているにすぎないとみられることから,メーカーからの仕入代金と本件ドレスの代金との差額を逸失利益として結婚式場に生ずべき平均的な損害に算入することは相当ではないとし、本件ドレス契約の解除に伴い結婚式場に生ずべき平均的な損害額は,結婚式場がメーカーに対して支払った金額と同額の11万3400円であると認めるのが相当である。
したがって,本件取消料条項のうち11万3400円を超える額の違約金の部分は、9条1号により無効。

◆ H20.11.27東京高裁判決

2010年9月28日 公開

平成20年(ネ)第884号損害賠償請求控訴事件
LLI,国民生活センターHP消費者問題の判例集
裁判官 渡邉等,高世三郎,山口信恭

【事案の概要】
キャッチセールスによって展示会場に誘導され,高額な絵画を購入させられたことにつき,販売会社らに損害賠償を求めた事案。不法行為の理由として,特商法違反,消費者契約法違反(退去妨害)が争われた。

【判断の内容】
次の理由から,売買代金から絵画の実質的価値を差し引いた差額,弁護士費用について損害賠償請求を認めた。
① 1条,4条3項2号の趣旨から,消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該事業者が同法4条3項2号所定の行為をしたことに より困惑し,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をすることがないように保護されているのであって,消費者のこのような立場は法律 上保護に値する法的利益というべきである。
② 特商法3条もしくは6条1項違反行為,又は消費者契約法4条3項2号に該当する行為をした場合において,①これらの違反行為等がたまたま当該勧誘にお いて行われたものか,あるいは当該事業者において繰り返し違反行為等が行われているか,②違反行為等が単一であるか,あるいは複数の違反行為等が組み合わ されて勧誘が行われているか,③違反行為等の違反の程度が軽微であるか,あるいは重大であるか,④勧誘を受けた消費者が販売される商品を購入するか否かを 決めるために必要な知識をあらかじめ有していたか,否か,⑤勧誘を受けた消費者が販売される商品を購入する意思をあらかじめ有していたか,否か,⑥違反行 為等により勧誘の相手方の置かれた状況(違反行為等によって生じた認識や心身の状況を含む。),⑦販売された商品の価値(市場価値等の客観的価値や主観的 価値)と販売価格との合致の有無,あるいは乖離の程度,⑧特定商取引に関する法律9条1項所定の申込みの撤回等(いわゆるクーリングオフ)が行われ,又は 消費者契約法4条3項所定の意思表示の取消しが行われた場合の事業者の対応等を総合考慮し,違反行為等を要素とする一連の販売行為を全体としてみて特定商 取引に関する法律及び消費者契約法が実現し保護しようとする法秩序に実質的に反するものと評価すべきときは,当該販売行為は社会生活上許容することができ ないものであり,当該販売行為により消費者の法律上保護される利益を侵害したときは,販売業者等は,不法行為責任に基づき,消費者に対し,これによって生 じた損害を賠償すべき義務を負うというべきである。
③ 本件では,販売目的隠匿、重要事項の不実告知、退去妨害など、特定商取引法および消費者契約法に反する行為が多数あったとし、これらは会社ぐるみで反 復継続して行われているものであるとして,版画制作会社と販売会社とに不法行為による損害賠償を、両社の取締役には取締役としての第三者責任を認めた。

◆ H21.12.10仙台高裁判決

2010年9月28日 公開

平成21年(ネ)第第330号損害賠償請求控訴事件
消費者法ニュース84号389頁
裁判官 小磯武男,山口均,岡田伸太

【事案の概要】
商品先物取引業者に対する損害賠償請求。主位的に不法行為による損害賠償請求,予備的に断定的判断の提供による取消による不当利得返還請求を求めた事例

【判断の内容】
主位的請求について,断定的判断の提供による不法行為を認め過失相殺6割として賠償請求を認めつつ,予備的請求の断定的判断の提供による取消を認め,実損から主位的請求で認められた部分を除いた残額の返還請求を認めた。

◆ H22.03.26奈良地裁判決

2010年9月28日 公開

平成20年(ワ)第1084号不当利得返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン、消費者法ニュース84号293頁、証券取引被害判例セレクト37巻175頁
裁判官 宮本初美
控訴審 H22.10.08大阪高裁判決

【事案の概要】
インターネットで株取引を行い損失が生じていた主婦が,ネット上で見つけた投資相談電話に電話したところ,投資顧問契約を締結し会費200万円を支払わされたことについて,断定的判断の提供による取消等を主張し返還を求めた事案。

【判断の内容】
過去に受けた損失500万円及び会費200万円も含め700万円を取り戻すことができるとして勧誘を受けたものと認定し,断定的判断の提供による投資顧問契約の取消を認め,不当利得返還請求を認めた。

◆ H21.01.21神戸地裁判決

2010年7月31日 公開

平成20年(レ)第98号敷金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 下野恭裕,齋藤大,桂川瞳
原審 神戸簡裁平成19年(ハ)第11981号

【事案の概要】
敷金返還請求。原審は敷引条項が10条違反であるとして返還請求を認めたが,控訴された。

【判断の内容】
原判決を取り消し,敷引条項が10条違反でなく有効とした。
① 民法は賃料以外の金銭負担を予定していないが,これと異なる合意を当事者間ですることが全て不当とまではいえない。
② 関西においては敷引の慣行が相当定着している。
③ 敷引特約があれば長く刈り続ければ賃借人にも一定のメリットがある。
④ 退去時の修繕費を巡る無用な争いを避けることができるなど一定の利点もある。
⑤ 後段要件については,賃借人が敷引特約の内容について認識していたかどうか,敷引特約があることによって,敷引額に相応して賃料が低額になっていたか どうか,敷引特約が存在しない賃貸物件を選択する可能性がどの程度あったか,原状回復費用の負担はどうなっていたのか等の諸般の事情を総合考慮して判断す べき。
⑥ 本件では,敷引条項は一義的に明確であり,賃借人は明確に認識していた。他のマンションを賃借する可能性もあった。敷引額も不当に高額とは言えない。 賃借期間が4年3ヶ月にわたった。修繕費が66万円かかっており,賃借人が負担を免れていること等から,後段要件は満たさない。

◆ H21.07.10横浜地裁判決

2010年7月9日 公開

平成19年(ワ)第2840号報酬契約金請求事件
判例時報2074号97頁、2111号154頁
裁判官 宮坂昌利

【事案の概要】
弁護士である原告が,依頼者である被告から委任の途中で解任されたことに関し,未払いの着手金残額及びみなし報酬特約または民法130条の規定によるみなし条件成就を主張して報酬の支払いを求めた事案。

【判断の内容】
みなし報酬特約は9条1号に反し無効であるとして請求を棄却した。
① 弁護士との委任契約は消費者契約にあたる。
② 委任者が受任者をその責めによらない事由によって解任したときは,委任の目的を達したものとみなし,報酬の全額を請求できるとするみなし報酬特約は,民法648条3項の特則にあたり,損害賠償額の予定または違約金の定めにあたる。
③ 平均的損害について,当該事件処理のために特別に出捐した代替利用の困難な設備,人員整備の負担,当該事件処理のために多の依頼案件を断らざるを得な かったことによる逸失利益については,通常の弁護士業務体制を想定した場合,本件遺産分割調停事件の受任のためにこのような損害が通常発生するとは言い難 い。
 当該事件にかかる委任事務処理費用の支出,当該事件処理のために費やした時間及び労力については,通常,着手金によってまかなうことが予定されている。
 本件委任契約の定める報酬を得ることができなかった逸失利益については,中途解約にかかる損害賠償額の予定を適正な限度に制限する9条1号の趣旨からは,民法130条の適用があり得ることは格別,平均的損害には含められない。

◆ H21.03.27大津地裁判決

2010年7月8日 公開

平成20年(ワ)第525号
判例時報2064号70頁
裁判官 阿多麻子
控訴審 H21.10.29大阪高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,更新料支払条項が10条違反であるとして,更新料の返還を求めた事例

【判断の内容】
次の理由から,10条違反とはいえないとして請求を棄却した。
① 更新料は,京滋地域では慣行となっており,借りようとする者も一般的に認識しており,また,賃貸人賃借人とも,物件の使用収益の対価としてかかる一時金が設けられているという限度で認識は一致しており,賃料の補充の性質を有する。
② 更新拒絶権放棄の対価の性質,賃借権強化の機能は認められるが,本件では希薄。
③ 約款を用いた取引であっても,核心的合意部分については交渉過程及び契約内容に顧客の意向が反映されるのであるから,企業者が定型的処理のため一方的に定めた技術的事項や付随的条件とは異なり,解釈にあたって,約款の特殊性に応じた厳密な内容規制を及ぼす必要はない。
④ 10条前段要件は満たす。
⑤ 10条後段要件について,「消費者の利益を一方的に害する」とは,事業者と消費者との間の情報力・交渉力の格差によって消費者に判断の前提となるべき情報が提供されず条項の了知が期待できないこと,あるいは,市場における競争原理が有効に機能していないことから,私的自治の原則や契約自由の原則に修正を加えなければならないほどに,消費者の利益が不当に侵害されていることと解するのが相当。
⑥ 本件では,原告は更新料の内容を認識しており,自由な選択で契約したもの。格差につけ込んで押しつけたものとはいえない。中途解約の場合も返還されないことを認識した上で放棄したもの。

◆ H21.06.19大阪高裁判決

2010年7月8日 公開

平成20年(ネ)第3256号敷金返還等請求控訴事件
未登載

【事案の概要】
敷引特約を有効とした。
判例時報2066号84頁(H21.09.25京都地裁判決(1)の解説)に記載あり。



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