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「不当勧誘」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H22.10.08大阪高裁判決

判決年月日: 2010年10月 8日

国センHP(消費者問題の判例集)
第1審 H22.03.26奈良地裁判決

【事案の概要】
インターネットで株取引を行い損失が生じていた主婦が,ネット上で見つけた投資相談電話に電話したところ,投資顧問契約を締結し会費200万円を支払わされたことについて,断定的判断の提供による取消等を主張し返還を求めた事案。1審が断定的判断の提供による投資顧問契約の取消を認め,不当利得返還請求を認めたが、その控訴審。

【判断の内容】
 原審と同様、断定的判断の提供による投資顧問契約の取消を認め、不当利得返還請求を認めた。

◆ H22.10.07三島簡裁判決

判決年月日: 2010年10月 7日

消費者法ニュース88号225頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 被告Y1は、連鎖販売取引において波動エネルギーを記憶させた水(本件商品)を販売していたところ、本件商品が近眼、花粉症、アトピー等に効果があるとの説明を受けた原告は、本件商品を割安に購入する目的で連鎖販売取引の仕組みに参加し本件商品を購入した(本件売買契約)。しかし、本件商品に当該効能はなかったとして、原告が被告Y1に対し、被告Y1の勧誘行為は不実の告知に該当するとして、法4条1項1号他による本件売買契約の取消および不当利得の返還を請求した。また、原告は被告Y2と本件商品購入につきクレジット契約を締結したところ、被告Y2は法5条の「事業者」に該当するとして、クレジット契約についても同法5条・4条1項1号による取消を請求した。

【判断の内容】
 連鎖販売取引における売買契約の一方当事者が法2条1項の「消費者」に該当するかにつき、連鎖販売取引であっても自らの消費のためだけに商品の購入契約を締結する場合は同条項の「消費者」に該当するとして、原告の「消費者」該当性を認めた。その上で、被告Y1に対する請求については、本件売買契約の勧誘に当たり、被告Y1が本件商品を飲むことで病気が治る等の説明をしたことは法4条1項1号の不実の告知に該当するとして、同条項による取消を認めた。なお、被告Y2に対する請求については、被告Y1が同法5条にいう「媒介の委託を受けた第三者」には当たらないとして、クレジット契約の取消を認めなかった。

◆ H21.06.19東京地裁判決

判決年月日: 2009年6月19日

平成20年(ワ)1275号立替金請求事件
判例時報2058号69頁,消費者法ニュース83号220頁,国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
裁判官 外山勝浩

【事案の概要】
医療機関との間で包茎手術とこれに付随するコラーゲン注入術の診療契約を締結した際,クレジット会社との間で治療費の立替払い契約を締結した事案。

【判断の内容】
当該手術が医学的に一般に承認された方法で行われると考えるのが通常であること,本件亀頭コラーゲン注入術が医学的に一定の効果を有するものであったとしても,当該術式が医学的に一般に承認されたものとはいえない場合には,その事実は4条2項の「当該消費者の不利益となる事実」に該当すること,本件亀頭コラーゲン注入術が医学的に一般に承認された術式と認めることが困難であり,逆に有用性については疑問が示され消費者被害救済の対象とされているものと認め られるとして,立替払い契約全部の取り消しを認めた。

◆ H21.06.16大阪高裁判決

判決年月日: 2009年6月16日

平成21年(ネ)第527号敷引条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 渡邉安一、安達嗣雄、明石万起子
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 大和観光開発株式会社
第1審 H21.01.28京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が不動産賃貸業者に対し,10条違反である敷引条項の使用差止,及び差止に必要な措置を求めたところ,使用差止については業者が請求を認諾したため,差止に必要な措置の命令の可否が争われた事案

【判断の内容】
控訴棄却。
①従業員らに対して当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう指示することという主位的請求については,事業者に特定の作為を求める給付の訴えであり、債務名義として執行によって実現される事業者の義務を控訴人は明らかにする必要があるが、控訴人の請求は、当該条項を使用した意思表示を行うための事務を行わないよう指示を求めるだけであり、書面によることの要否等、その方法、程度、内容が一義的には明らかでなく、どのような措置をとれば法的義務を履行したことになるのか明らかでないことから、請求の特定を欠き不適法。
②予備的請求として、従業員らに対して、当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう周知徹底させる内容を記載した書面の配布を行うよう求めたことについて,被控訴人がその従業員等に対して、当該条項を含む意思表示を行うための事務を行わないよう周知徹底していること等を主張しているのに対し、控訴人は、被控訴人が当該条項を含んだ意思表示を行うおそれがあることを基礎付ける事実を何ら主張せず、被控訴人が当該条項を含んだ意思表示を行う蓋然性が客観的に存在していると認めることはできない。

◆ H21.05.21京都地裁判決

判決年月日: 2009年5月21日

平成21年(レ)第14号保証債務履行請求控訴事件
未登載
裁判官 辻本利雄,和久田斉,戸取謙治
原審 H21.01.13右京簡裁判決

【事案の概要】
連帯保証人に対する貸金業者からの保証債務履行請求。

【判断の内容】
次の理由から,消費者契約法による取り消しを否定して原審判決を取り消し,錯誤無効の主張も排斥して請求を認容した。
① 「消費者」(2条1項)とは,消費者契約法が制定された趣旨からすると,自らの事業としてでなく,自らの事業のためにでもなく契約の当事者となる主体をいう。
② 「媒介の委託を受けた第三者」(5条)とは,事業者が第三者に媒介を委託して事業活動を拡大し,利益を得ている以上,その第三者の行為による責任を事業者も負担すべきであるという趣旨にかんがみ,その第三者が媒介の委託を受けた事業者との共通の利益のために契約が締結されるよう尽力し,その契約締結について勧誘をするに際しての第三者の行為が事業者の行為と同視できるような両者の関係が必要となる。
 本件借主は,事業者である貸金業者の事業活動拡大等のためではなく,あくまで自らが資金を獲得するという利益のために保証人となるように依頼したのであり,貸金業者と共通の利益を有しているということはできず,第三者にあたらない。

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