◆ H18.01.31東京地裁判決
判決年月日: 2006年1月31日
2014年3月29日 公開
平成16年(ワ)第14344号学納金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 石井浩、間部泰、川原田貴弘
【事案の概要】
被告が設置する大学に合格し、入学金や授業料等を納入した後、他大学への合格を理由に入学を辞退した原告が、不当利得返還請求権に基づき、被告に対し、入学時納入金の返還等を求めた事案。
【判断の内容】
① 平均的損害の立証責任は消費者が負うが,平均的な損害に関する情報及び証拠の多くは事業者側にあるものと認められるところ、消費者と事業者との間の情報の質及び量の格差を是正し、消費者の利益を擁護することを目的とする消費者契約法の趣旨にかんがみれば、平均的な損害の額を超えることが一応の合理的理由に基づいて認められた場合には、事業者において必要な反証がされない限り、消費者の立証責任は尽くされたものとして、立証された金額が平均的な損害の額であると事実上推定されると解するのが相当。
② 入学金は大学に入学し得る地位を取得することなどの対価であり、大学はその返還をすることを要しない。
③ 授業料・教育充実費については,入学予定者の入学辞退により何らかの平均的損害はないものと認めるのが相当であるから、授業料及び教育充実費を返還することを要しない旨の合意は9条1号により無効であり、被告大学はこれを返還することを要する。