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「2013年11月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H24.02.16東京地裁判決

判決年月日: 2012年2月16日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 原告が、被告との間で継続的に金銭の借入、弁済を行ったことにつき、その取引について利息制限法の引直計算を行った結果、最終取引日において過払金が生じているとして不当利得の返還を請求した。なお、原告と被告は、極度額借入契約に基づく債権債務がないことを相互に確認する旨の和解契約を締結したが、原告は本件和解契約について錯誤無効、法4条2項による取消しを主張した。

【判断の内容】
 本件和解契約に関し、錯誤無効は認められない。本件和解契約は被告から勧誘されて締結されたものではなく、契約締結の際、被告担当者としては本件取引について過払金を算定し、これを原告に告知すべき法律上の義務があるとはいえないから、結果的に多額の過払金が発生していたとしても、これを原告に告げなかったことが重要事項について原告の不利益となる事実を故意に告げなかった場合に該当するとはいえない。よって、本件和解契約の無効または取消しは認められないとした。原告の主張は、本件和解契約締結後に判明した、原告が被告に対して過払金返還請求権を有するという事実を前提とするものであるところ、その権利は、本件和解契約によって消滅したことになるとして、原告の請求を棄却した。

◆ H24.02.03東京地裁判決

判決年月日: 2012年2月 3日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 建物の賃貸人である原告が、賃借人である被告Y1及び連帯保証人である被告Y2に対し、未払賃料等の支払いを求めた。被告らは、本件建物の他の居室について賃料の値下げがあったにもかかわらず、これを隠して被告Y1との間で本件賃貸借契約を締結しており、これは法4条2項に違反する行為であると主張した。

【判断の内容】
 原告が、被告Y1に対し、本件建物の居室の賃料が一律であると説明するなどして、被告Y1に利益となる旨を告げたことは認められないから、法4条2項の不利益事実の不告知による取消しは認められない。また、原告が、被告Y1に対し、他の居室の賃料額を説明しなかったからといって、それが被告Y1に対する不法行為であるとはいえない。本件賃貸借契約が無効あるいは取消し得るものとはいえない以上、被告Y1に他の居室の賃料額との差額分の不当利得返還請求権が生ずるともいえないとして、原告の請求を認容した。

◆ H23.07.12大阪高裁判決

判決年月日: 2011年7月12日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 原告が被告Y1会社が経営するクリニックにおいて、被告Y2による脂肪吸引手術を受けたところ、両大腿部の内側に皮膚潰瘍の障害が残り、これは被告Y2に手技上の注意義務違反および説明義務違反があったことが原因であるとして、被告Y1に対し債務不履行、使用者責任に基づく損害賠償、法4条1項2号または2項に基づく取消しを、被告Y2に対し、不法行為に基づく損害賠償、法4条1項2号または2項に基づく取消し等を求めた。
 原審では、Y2には手技上の注意義務違反があること、Y1の使用者責任を一部認めたが、消契法については、Y1が勧誘したものではなくXが脂肪吸引のために赴いていること、Y2らが断定的判断の提供をしたことを認めるに足る証拠はないとして取消しを認めなかった。Y2が控訴。

【判断の内容】
 控訴人に手技上の過失があることは認めたが説明義務違反はないとし、控訴人の請求を一部認めた。なお、法4条1項2号または2項の判断については原審の判断を支持した。

◆ H23.04.26広島地裁判決

判決年月日: 2011年4月26日

平成20年(ワ)第2320号損害賠償請求事件
金融商事判例1399号41頁、金融法務事情1966号124頁、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 金村敏彦、岩井一真、増子由一
控訴審 H23.11.25広島高裁判決

【事案の概要】
 被告からユーロ円建て債券を購入して損失を被った原告が,被告に対し,①同債券購入時に被告従業員の勧誘行為には,適合性違反・説明義務違反・断定的判断の提供など違法事由があったとして,使用者責任に基く損害賠償等を求め,②前記債券は欠陥商品であり,そのリスクの理解不足に乗じて行われた売買で,同売買契約は公序良俗違反・錯誤・詐欺・消費者契約法4条違反(不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知)による無効・取消原因があるとして,不当利得返還請求権に基き,①と同額の支払を求めた事案。

【判断の内容】
 被告の従業員は本件債券につき元本が保証されないことを説明していること等から虚偽の説明があったとは認められない。また、重要事項の不告知があったともいえない。また、被告の従業員は原告に対し元本毀損の可能性があることも説明していることから、不利益事実の不告知があったということもできないとして、法4条による取消しはできないとした。

◆ H23.12.01東京地裁判決

判決年月日: 2011年12月 1日

平成23年(レ)第1117号損害賠償請求控訴事件
LLI/DB、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 本多知成、秋元健一、鈴木美智子

【事案の概要】
 原告は、自己が経営するホームセンターで商品を購入した顧客に対し、商品の運搬のための自動車を1時間無償で貸与するサービスを行っていた。原告のホームセンターで商品を購入した未成年の被告は、自宅に商品を運搬するため、原告の軽トラックを借りて運転していたところ、ガードレールに接触させる事故を起こし、車両を損傷させた。そこで原告は、被告に対し、本件車両のリース解約料相当額の損害賠償を請求した。被告は、未成年者取消および本件車両の使用貸借契約の締結に当たっては、原告は被告に対し事故による損傷の場合、保険を適用せずに借用者に負担を求めることがあるなど顧客にとって重大かつ不利益な事実を告知しなかったことから消費者契約法4条2項による取消しを主張した。原審は、被告の未
成年者取消を認めたため、原告が控訴。

【判断の内容】
 本件契約締結の際、原告が被告に対し提示した「レンタル車使用についてのお願い」には、過失による破損、故障の修理費は顧客の負担となる旨記載されているのであって、車両保険を適用しないことを前提としている。したがって、重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったものと認めることはできないとして、法4条2項による取消しを認めなかった。未成年者取消についても、法定代理人の包括的な同意があったものとして取消しは認められないとして、原判決を取消し、原告の請求を認容した。



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