「2013年6月」アーカイブ|消費者契約法判例集
◆ H23.03.23東京地裁判決
平成21年(ワ)第17341号不当利得返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 端二三彦
【事案の概要】
沈没船引き上げに関する事業を行うと称して匿名組合契約の勧誘を受け100万円を出資した者による、不実告知による取消等に基づく不当利得返還請求。
【判断の内容】
パンフレットの記載や勧誘行為から、業者に不実告知があったとして、4条1項1号による取消を認め全額の返還請求を認めた。
◆ H23.03.17東京地裁判決
平成21年(ワ)第28066号債務不存在確認等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 矢作泰幸
【事案の概要】
貸金業者から1400万円を借りた者が、期限の利益を喪失したとして一括払い請求を受けたことから、契約書の約定返済方法とは異なる返済(30年分割)の説明を受けていたとして、不実告知(4条1項1号)による取消を理由として、債務不存在確認、根抵当権抹消請求をした事案。
【判断の内容】
継続的金銭消費貸借媒介契約書の記載や返済状況等から、不実告知があったものと認定し、金銭消費貸借契約の取消を認め、債務不存在確認、根抵当権抹消請求を認めた。
◆ H23.02.24東京地裁判決
平成21年(ワ)第3443号、平成22年(ワ)第1164号建物賃料増額確認等本訴請求事件、建物賃料減額確認等反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 小崎賢司
【事案の概要】
建物賃貸借契約における賃料増額請求、賃料減額請求(反訴)事件。礼金、更新料の支払いが10条にあたるかどうかが争われた。
【判断の内容】
① 礼金条項について、契約締結に対する謝礼金を原告に贈与することを義務づけるもので,被告は礼金の支払によって何らの対価も取得しないことが認められるから,かかる金銭の贈与を契約締結の条件とする旨の礼金支払条項は,本件賃貸借契約の成立において,民法による場合に比べて被告の義務を一方的に加重するものと認めるのが相当とし(10条前段要件)、また、本件賃貸借契約の締結にあたって賃貸人たる原告から金額を定めて提示された条件であると認められるところ,被告は,同条項に合意することを拒否すれば本件建物を賃借することを断念せざるを得ず,あるいは,契約締結後の関係悪化を慮ってその免除ないし減額の交渉を強硬に主張し難い立場にあるといえるから,原告と被告との間には交渉力の格差が存したものというべきであり,前記礼金支払条項は,信義則に照らして被告の利益を一方的に害するとして(10条後段要件)、10条により無効とした。
② 本件更新料条項については、主に賃貸人による更新拒絶権の放棄や契約期間中の賃借人の地位の安定という利益の対価にあたるとして、賃借人たる被告の義務のみを一方的に加重したものとは認められず,それが新賃料の1か月分にとどまることに照らせば暴利にあたるとも認められないから,同条項は無効とは認められないとした。
◆ H23.02.22東京地裁判決
平成22年(ワ)第35889号、第39833号立替金請求事件、反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 綿引穣、佐藤重憲、金洪周
【事案の概要】
金銭消費貸借契約に関する媒介委託契約の手数料及び同契約に付随して立替金を支出したとしてその返還を求めた(本訴)ことに対し、原告が被告の所有する不動産に設定した根抵当権の抹消手続を協力しなかったことによる損害賠償請求及び不当利得の返還を求めた(反訴)事案。
【判断の内容】
本訴請求を棄却し、反訴を一部認容したが、その理由中で、遅延損害金割合を年21.9%としていた立替金償還特約について、9条2号により年14.6%を超える部分を無効とした。
◆ H23.01.20東京地裁判決
平成22年(レ)第1691号保証債務請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 齊木敏文、日景聡、横井靖世
【事案の概要】
貸金業者と連帯保証人との間の分割和解契約に基づき、保証債務履行請求をした事案。和解契約に9条2号の摘要があるかが争われた。
【判断の内容】
以下の理由から、9条2号により遅延損害金利率を年14.6%に制限した。
① 控訴人が事業として又は事業のために本件和解契約の当事者となったものとは認められないから,本件和解契約には消費者契約法の適用がある。
② 本件和解契約は,本件貸金契約及び本件保証契約とは別に創設的に締結された和解契約であり,それ自体として「金銭を目的とする消費貸借契約」(利息制限法1条)に該当しないから,消費者契約法11条2項の適用はなく,同法9条2号の適用は排除されない。