◆ H24.05.29東京地裁判決
判決年月日: 2012年5月29日
2013年6月18日 公開
平成23年(ワ)第38990号、第41357号損害賠償請求事件、不当利得返還等反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 井出弘隆
【事案の概要】
行政書士への在留資格に関する申請書類の作成等の委任契約を解除したことによる報酬の返還請求。いったん納入された料金については理由の如何を問わず返還しない旨の特約が9条1号により無効となるかが争われた。
【判断の内容】
以下の理由から、一部について返還を命じた。
① 本件不返還条項は、委任者が本件委任契約を解除した場合における損害賠償の予定又は違約金を定める趣旨のものと解することができ、9条1号にあたる。
② 本件における「平均的な損害」とは、本件事務と同種の書類作成等の事務を行政書士に委任した依頼者がこれを解除することによって当該行政書士に一般的、客観的に生ずると認められる損害をいう。
③ 本件では、既払い報酬10万5000円のうち、平均的損害は1万円を超えないとして、9万5000円の返還請求を認めた。
④ なお、10条と9条1号の関係について、9条1号によって無効とならない部分が、10条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないことは明らかであり、同条適用の要件を欠くものというべきとした。