◆ H23.05.27札幌高裁判決
判決年月日: 2011年5月27日
2013年6月24日 公開
平成23年(ネ)第92号損害賠償請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 小林正、片岡武、湯川克彦
【事案の概要】
業者の未公開株を購入させられた者が、業者及び代表取締役に対し不法行為に基づく損害賠償請求等をした事案。
【判断の内容】
以下のように判断し、断定的判断の提供にあたるのみならず不法行為となるとして、損害賠償請求を認めた。
① 顧客に対し,業務の一環として,一般公募価格は1株100円となっているが1株50円で株主のうちの希望者に割り当てる,申込み先着順に受付をするので18万株になったら締め切る,第三者割当で1株50円の優待は今回で終了するなどと言葉巧みに未公開株である同社の株式を購入するよう勧誘し,顧客はこの勧誘に応じて,本件購入1ないし4の4回にわたり,業者の株式合計20万株を1株当たり50円,代金合計1000万円で購入しているところ,代表取締役らはこれらの勧誘の際,業者が近々,遅くとも平成21年秋ころまでには株式を上場し,上場すれば株価は500円程度になる旨の説明をし,この説明を受けた顧客は,説明どおりに株式が上場され,利益を得られると考えて本件購入に至ったことが認められる。しかるに,本件購入当時,業者において株式の上場に向けて具体的に作業を進めていた様子は窺われず,現在でも株式上場の見通しは立たない状態である上,株式の価値としては50円もないのであるから、上記説明は断定的判断の提供に当たる。
② そして、このような勧誘は社会通念上許容しうる範疇を超えており、不法行為を構成する違法なものというべき。