◆ H23.11.08福岡地裁判決
判決年月日: 2011年11月 8日
2012年12月1日 公開
金融法務事情1951号137頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
【事案の概要】
被告銀行との間で、変額個人年金、仕組債、投資信託、外貨預金に関する契約(本件契約)を締結した原告は、被告銀行の行員が原告の理解できない金融商品への投資を勧誘したことにより被害を被ったとして、本件契約の錯誤無効を主張し、また、本件仕組債の勧誘に関しては重要事項についての不利益事実の不告知および不実告知があったとして法4条に基づき契約を取消したと主張して不当利得の返還等を請求した。
【判断の内容】
錯誤無効の主張については、被告銀行の行員が原告に渡した書類等において、満期や早期償還の可能性があることが記載されていることから、原告が錯誤に陥っているとはいえないとした。法4条に基づく取消しについては、本件各仕組債に関する満期、利率、元本割れの可能性等、リスクに関する具体的な説明が原告に対してなされていること、また、販売資料および目論見書に満期が明確に記されており原告が満期を誤認することはないと考えられ、行員の説明が虚偽であったことを直ちに認めることはできないと判断し、本件仕組債について原告に対する不利益事実の不告知(法4条2項)、不実告知(同条1項1号)に該当する事実はないとして、法4条に基づく取消しを認めなかった。