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「2011年12月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H23.11.24京都地裁決定

2011年12月3日 公開

平成23年(ヲ)第33号間接強制申立事件
決定写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 大島雅弘
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社長栄
第1審 H21.09.30京都地裁判決
控訴審 H22.03.26大阪高裁判決

【事案の概要、判断の内容】
適格消費者団体が,不動産賃貸業及び不動産管理業を目的とする事業者である被告に対し,定額補修分担金条項が10条に反して無効であるとして,定額補修分担金条項を含む意思表示をすることの差止を認めた第1審判決に基づき、当該条項を含む意思表示をしたときは1回につき50万円の割合による金員を支払うとの内容の間接強制が認められた。

◆ H22.09.28東京地裁判決

2011年12月3日 公開

平成21年(ワ)第23889号入居金返還請求事件
判例時報2104号57頁
裁判官 綿引穣、佐藤重憲、金洪周

【事案の概要】
 介護付有料老人ホームの入居契約をしたところ、入居者(母)が1年10カ月後に死亡した。入居時に、入会金として105万円、施設協力金として105万円、入居一時金として1155万円を支払っており、入居一時金は20%を契約締結時に、残り80%は5年間で償却するとされていた。入居金、入居一時金が10条違反である等として、返還を受けた金額との差額の返還請求をした事案。

【判断の内容】
請求棄却。
① 本件入居金の額、使途及び償却基準等は、東京都の指針に従っており、都知事から事業者指定を受けている。入居金を徴収することや、契約締結時に20%を償却することは都の指針もこれを前提とする規定を置いている。
② 入居金の使途、額の算定の仕方、償却期間の設定状況、短期間で死亡した場合の定めがあり、その説明を受け署名していることなどからは、入居一時金の償却は民法、商法その他の規定が適用される場合に比して消費者の利益を害するものではなく、10条にはあたらない。

◆ H23.03.18大阪簡裁判決

2011年12月3日 公開

平成22年(ハ)第27941号不当利得返還請求事件
消費者法ニュース88号276頁
裁判官 篠田隆夫

【事案の概要】
 建物賃貸借契約で、礼金が10条違反であるとして不当利得返還請求をした事案。礼金12万円、期間1年の契約で1カ月と8日のみ使用し退去した。

【判断の内容】
 以下の理由から、礼金12万円のうち、3万円を控除した9万円の返還を命じた。
① 礼金は、実質的には賃借人に建物を使用収益させる対価(広義の賃料)であるが、その他にもその程度は気迫ではあるものの賃借権設定の対価や契約締結の謝礼という性質をも有している。一定の合理性を有する金銭給付であり、礼金特約を締結すること自体が「民法1条2項に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であるとはいえない。
② 礼金は実質的に前払い賃料であるから、予定した期間が経過する前に退去した場合は、建物未使用期間に対応する前払い賃料を返還するべきことは当然。礼金は返還しないという合意は、契約基幹系構え退去の場合に前払い分賃料相当額が返還されないとする部分について消費者の利益を一方的に害するものとして10条により一部無効というべきである。



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