「2011年11月」アーカイブ|消費者契約法判例集
◆ H19.10.30大阪地裁判決
国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
控訴審 H20.05.19大阪高裁判決
【事案の概要】
本件団地の建替計画の共同事業予定者である不動産会社(原告)が、団地管理組合の一括建替え決議を踏まえて、建替え賛成者から区分所有権を取得した上で、区分所有者として任意に売り渡さない居住者(被告)に対して、区分所有法所定の売渡請求権を行使したとし同請求権行使によって売買契約が成立したと主張して、所有権に基づき、所有権移転登記手続等を請求した。被告らは、手続違反等による一括建替え決議の無効、消費者契約法8条ないしは10条による無効等を主張した。
【判断の内容】
(本件一括建替え決議の消費者契約法違反性について)被告らは、従前資産売買契約中の条項の消費者契約法違反をもって本件一括建替え決議の無効を主張するものであるが、従前資産売買契約は、本件一括建替え決議に基づく建替え計画実施の一部をなすものではあっても、本件一括建替え決議の内容をなすものではなく、従前資産売買契約の法令違反が直ちに本件一括建替え決議の違法や無効を帰結するものではないというべきであるし、従前資産売買契約が仮に法令違反で無効となったとしても、それが本件一括建替え決議の無効を帰結するものではないというべきである。また、消費者契約法8条ないし10条は、同条違反の条項を違反する範囲で無効とするものであって、当該消費者契約全体を無効とするものでないことは条文の文言に照らして明らかである。以上のとおりであるから、被告らの上記主張は採用することができない。
(なお、原告の被告らに対する本件各請求はいずれも理由があるとして、原告の被告らに対する所有権移転登記、明渡し請求を認めた)
◆ H16.07.08東京地裁判決
平成16年(ワ)第997号
判例マスター
裁判官 綿引万里子
【事案の概要】
ペットの犬を業者から購入したところ、1年10ヶ月経過後に突発性てんかんと診断されたことを理由に、債務不履行、瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事案。業者の免責約款が8条1項1号、8条1項2号、10条により無効となるかが争われた。
【判断の内容】
1 本件は債務不履行にはならないが、突発性てんかんが遺伝的要因によって発症したものであるとすれば、隠れた瑕疵を有していたものとして業者は瑕疵担保責任を負担する。
2 8条1項5号は有償契約の瑕疵担保責任による賠償責任をすべて免除する条項を無効とするものであり、本件では、病気治療保障(購入日より2週間以内に発病し48時間以内に指定医に持ち込まれたときに治療費を負担)、先天的欠陥保障(購入日より3ヶ月以内又は生後5ヶ月以内に申し出があった場合代犬を提供する)があり、それ以外の場合を免責するものであり、すべてを免除するものではないから、同条項により無効となると解する余地はない。
3 保障部分を本件条項の場合に限定することは合理的理由があるから、民法1条2項の基本原則に違反するものとして10条に該当し、もしくは民法90条により無効であり、又は免責主張が信義則に反するとはいえない。