◆ H19.11.30大阪地裁堺支部判決
判決年月日: 2007年11月30日
2011年11月11日 公開
【事案の概要】
原告は、被告に対して、放送受信契約に基づいて、衛星放送の受信設備を設置したことを要件とし、視聴の意思がない者にも一律に衛星カラー契約の締結を義務づけることは、契約自由の原則に反する、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する(消費者契約法10条)と主張して、カラー契約から衛星カラー契約に契約変更する債務が存在しないことの確認を求めた。
【判断の内容】
放送法32条及びこれに基づく放送受信規約は、被告の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に対し、放送を視聴する意思の有無にかかわらず、その受信設備の種類に応じた契約を締結し、その契約の種別ごとに定められた受信料を負担することを義務づけており、これは、契約による法律関係の形成についての個人の自由を制限するものであるとともに、法律の任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する消費者契約の条項(消費者契約法10条)を定めたものと解する余地がある。
しかし、衛星放送をカラー受信することのできる受信設備を設置した者に対し、衛星放送を視聴する意思の有無にかかわらず、カラー契約から衛星カラー契約への契約変更を義務づけることは、契約自由の原則の例外として許容されるというべきであり、また、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの(消費者契約法10条)ではない。よって放送法 32 条及び放送受信規約は有効であり、原告に契約変更の義務があるとして、原告の請求を棄却した。