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◆ H23.03.04大阪地裁判決

判決年月日: 2011年3月 4日
2011年5月26日 公開

平成20年(ワ)第15684号不当利得金返還請求事件
判例時報2114号87頁
裁判官 小林康彦

【事案の概要】
 認知症が進行していた92歳の独り暮らしの女性が、梵鐘の製作等を業とする業者との間で50トンの大梵鐘を製作する請負契約を締結し、代金3億円のうち2億円を支払ったが、当該契約が不実告知、不利益事実の不告知によって締結された等と主張して、返還請求をした事案。契約書作成前に支払われた2億円が、契約書において契約解除の場合には違約金として没収されるとなっていた条項の効力が争われた。

【判断の内容】
 次の理由から、不利益事実の不告知による取消を認め、2億円の返還請求を認めた。
①4条2項の趣旨は、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合には、民法上の詐欺が成立しないときであっても、消費者が当該契約に拘束されることは衡平を欠くことから、消費者に当該契約の効力を否定する手段を与えたもの。
②梵鐘の設置場所が未確定なまま巨大な梵鐘を、寺院でない一個人が注文するという極めて異例な契約内容であることから、契約書作成時点において契約が締結されたものというべき。
③前払い金2億円について、中途解約の場合違約金となることが契約書においてはじめて記載されており、趣旨が変わっているにもかかわらずそのことを告げた事実は認められない。このことは、重要事項にかかる不利益事実の不告知があるものとして、取消事由となるというべき。



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