◆ H22.09.16神戸地裁判決
平成22年(レ)第183号違約金請求控訴事件
未登載
裁判官 栂村明剛,木太伸広,藪田貴史
原審 神戸簡裁平成21年(少コ)第116号
【事案の概要】
結婚式及び結婚披露宴を開催する契約を締結し、同結婚式等で使用する予定であったウェディングドレスの売買契約(セミオーダー)もあわせて契約した。このドレス売買契約については、契約してから10日までは自由にキャンセルできるが、それ以降のキャンセルの場合、売買代金100%の違約金が発生するという条項があり、その点についての確認書が取られていた。
ところが、結婚式等当日の84日前,ドレス契約日から35日後に,消費者の申出により結婚式等の開催契約が解除された。
そこで、結婚式場が、主位的に売買代金請求、予備的に違約金請求として,売買代金(ないし違約金)31万5000円の支払を求めた。
【判断の内容】
結婚式場が、本件ドレスの製作代金としてメーカーに支払った金額は,11万3400円であり、それ以上の積極的損害を何ら具体的に主張していないことにも鑑みると,結婚式場に生じた本件ドレス契約の効力喪失に伴う積極的損害はそれに尽きているとみることができる。
本件ドレスの発注についても実質的にはメーカーと消費者との間を媒介しているにすぎないとみられることから,メーカーからの仕入代金と本件ドレスの代金との差額を逸失利益として結婚式場に生ずべき平均的な損害に算入することは相当ではないとし、本件ドレス契約の解除に伴い結婚式場に生ずべき平均的な損害額は,結婚式場がメーカーに対して支払った金額と同額の11万3400円であると認めるのが相当である。
したがって,本件取消料条項のうち11万3400円を超える額の違約金の部分は、9条1号により無効。