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「2010年」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H16.02.26東京高裁判決

判決年月日: 2004年2月26日

平成16年(ツ)第9号貸金請求上告事件
消費者法ニュース65号35頁
裁判官 鬼頭季郎,小池信行,任介辰哉
第1審 H15.05.13千葉簡裁判決
控訴審 H15.10.29千葉地裁判決

【事案の概要】
貸金業者の保証人に対する保証債務履行請求。実質的借主が誰であるか,主債務者の支払能力,融資金の使用目的及び弁済金の支払い方法について,虚偽の事実 を主債務者から告げられ,保証人が誤信している状態にあることを知りながら,あえてこれを告げずに保証契約を締結させた貸金業者の行為が不実告知にあたる として,保証契約について4条1項1号による取消しを主張した。

【判断の内容】
① 本件連帯保証契約における主債務者及びその支払能力,融資金の使用目的及び弁済金の支払方法は4条1項1号の重要事項にあたる。
② これらについて主債務者から虚偽の説明を受け保証人が誤信していることを知りながら,あえて沈黙して保証契約を締結させた貸金業者の行為は不実告知に当たる。
として,不作為による不実告知を認めて4条1項1号による取消しを認め,貸金業者の請求を棄却した。

◆ H16.02.23大阪地裁判決

判決年月日: 2004年2月23日

平成14年(ワ)第9604号,10840号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 横山光雄

【事案の概要】
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,入学金のみを支払った者は入学金を,入学金及び初年度授業料等を支払った者はこれら双方の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料等を納めた者の退学は入学式(4月5日)及び学科ガイダンス(4月8日)を受けた後の4月8日であったが,授業料等を返還しないとの特約は9条1号 に該当する条項であり,被告には平均的損害は認められず9条1号により無効であるとして全額の返還を認め,入学金については「入学しうる地位の対価」とし て返還義務を否定した。

◆ H16.02.19大分簡裁判決

判決年月日: 2004年2月19日

平成15年(ハ)第267号原状回復等請求事件
消費者法ニュース60号59頁
裁判官 角南昌伸

【事案の概要】
自宅の床下に拡散送風機等を設置する請負契約の締結前,業者の従業員に対し,退去すべき旨の意思を表示したにもかかわらず退去しないことにより困惑し,そ れによって契約を締結したとして,契約を取り消すとともに,業者に対して既払い金の返還を,信販会社に対しては抗弁対抗により,債務不存在の確認を求め た。

【判断の内容】
「そのようなものは入れんでいい,必要ない。」「帰ってくれ。」「換気扇は必要ない,私らを騙しているんじゃないんか。」などと言っているにもかかわら ず,午前11時ころから午後6時30分ころまで勧誘して契約を締結したことにつき,不退去により困惑して契約を締結したものとして,請負契約の取消しを認 め,業者に対して既払い金の返還請求を,信販会社に対しては抗弁対抗を認め債務不存在を確認した。

◆ H16.02.18岡山地裁判決

判決年月日: 2004年2月18日

平成14年(ワ)第1058号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 小野木等,政岡克俊,永野公規

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
得べかりし利益は,9条1号の平均的損害には含まれない。本件特約のうち,授業料を返還しない部分は9条1号により無効であるとして返還を命じ,入学金に ついては「入学資格を得た対価」として返還義務を否定し,入学金の返還を認めない部分は,10条にも民法90条にも該当しないとした。

◆ H16.02.13大阪地裁判決

判決年月日: 2004年2月13日

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金及び授業料とも在学契約に伴う大学の種々の義務に対する対価として同じ性質であることを前提に,授業料を返還しないことは9条1号にいう平均的な損 害の額を超える部分に該当するとして返還を命じたが,入学金は平均的な損害の額を超える部分には該当しないとして返還義務を否定した。

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