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「2010年」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H19.01.29名古屋地裁判決

判決年月日: 2007年1月29日

平成18年(ワ)第4452号損害賠償請求事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 安田大二郎

【事案の概要】
パチスロ攻略法が断定的判断の提供に当たるとして4条1項2号による取消,不法行為による損害賠償請求が認められた事案。パチスロ攻略法の売買は消費者契約法による保護を受ける契約か否か,消費者の努力義務違反があるか否かも争われた。

【判断の内容】
① パチスロ攻略法は断定的判断の提供に当たる。
② 事業者と消費者の格差の観点からは,本件売買について取消を認めても消費者契約法の趣旨を逸脱するものではない。
③ 消費者の努力義務(3条2項)は,事業者から提供された情報を活用するように要請するに過ぎず,消費者自ら情報を収集する努力まで課すものではない。

◆ H19.01.11大阪地裁判決

判決年月日: 2007年1月11日

平成18年(レ)第176号敷金返還請求控訴事件,同第251号同附帯控訴事件
未登載
裁判官 塚本伊平,府内覚,烏田真人

【事案の概要】
分譲貸の建物賃貸借契約につき,敷引特約(全額敷引の合意)は10条,民法90条により無効であるなどとして敷金の返還を求めたのに対し,分譲貸の事業者(2条2項)該当性等が争点となった。

【判断の内容】
① 転勤により空室になるため賃貸したものであること,当該建物以外の物件につき賃貸しているという事実も認められないことなどから,賃貸を反復継続的に行っていたということはできず,「事業者」(2条2項)には該当しない。
② 敷引特約は契約書,重要事項説明書に明記されており,賃借人が敷引特約を押しつけられたといった事情もうかがえないことから,敷金全額(90万円。なお,賃料月額14万円,管理費月額2万3940円。)であっても直ちに公序良俗に反するとはいえない。

◆ H19.11.09奈良地裁判決

判決年月日: 2007年11月 9日

平成18年(ワ)第824号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 坂倉充信

【事案の概要】
敷金40万円から控除された,敷引部分20万円と原状回復費用のうち19万8425円の返還を求めた(賃貸人からの反訴あり)。

【判断の内容】
一部認容。
① 賃借人は原則として故意・過失による建物の毀損や通常でない使用方法による劣化などについてのみ原状回復義務を負う。
② 敷引特約は,10条により無効として賃借人に責任ある修繕費用(13万7271円)のみ敷金からの控除を認めた。

◆ H18.09.08大阪高裁判決

判決年月日: 2006年9月 8日

平成18年(ネ)第466号不当利得返還請求控訴事件
未登載
裁判官 渡邉安一,矢延正平,川口泰司
第1審 H18.01.30京都地裁判決

【事案の概要】
外国語会話教室において,レッスンを受講するためのレッスンポイントを事前に一括して購入することとされ,その料金は購入ポイント数が多くなればなるほど 単価が安くなる制度が採用されている一方,途中解約する場合には,当初の単価ではなく,消化済みのレッスンポイントと同程度のコースの契約時単価(購入時よりも割高となる)を単価として精算することとされている約款が,特定商取引法49条2項1号イに違反して無効であるとして,精算金を請求した。教室側は,約款の合理性を主張した。

【判断の内容】
原審と同じ。
以下の理由から,精算金の返還請求を認めた。
① 本件規定は特定商取引法49条2項,同法49条7項の規制を受ける。
② 合理的な理由なく契約締結時ないし前払金の受領時に適用された単価と異なる単価を用いることは,これにより,役務受領者に対し,契約締結時ないし前払 金の受領時に適用された単価を用いて精算を行う場合に比較して高額の金銭的負担を与える場合には,実質的に,役務提供事業者に特定商取引法49条2項1号が許容する金額以上の請求を認めるものであり,特定商取引法が許容しない違約金ないしこれに類する金員を請求するものであるとして,同約款規定は無効であ る。

◆ H18.08.30東京地裁判決

判決年月日: 2006年8月30日

平成17年(ワ)第3018号売買代金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 山崎勉
控訴審で3000万円の支払いをうけることで和解成立

【事案の概要】
不動産業者から眺望のよいマンションを購入したが,直後に隣接地にマンション建設予定があり眺望が悪くなることを知らされなかったとして,4条2項による取消を主張し,売買代金2870万円及び遅延損害金の返還を求めた。

【判断の内容】
以下の理由から,取消を認め代金返還請求を認めた。
① 勧誘するに際し眺望がよいことを告げたことは,重要事項について原告の利益となる旨を告げたというべき。
② 隣接地に前記眺望が悪くなるマンションの建設予定があることを知りながらこれを告げなかったことは,不利益事実を故意に告げなかったものというべき。
 重要事項説明書に周辺環境が将来変わる場合があると記載されていたとしても一般的説明にとどまり,当該不利益事実を告知したことにはならない。

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