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◆ H21.03.27大津地裁判決

判決年月日: 2009年3月27日
2010年7月8日 公開

平成20年(ワ)第525号
判例時報2064号70頁
裁判官 阿多麻子
控訴審 H21.10.29大阪高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,更新料支払条項が10条違反であるとして,更新料の返還を求めた事例

【判断の内容】
次の理由から,10条違反とはいえないとして請求を棄却した。
① 更新料は,京滋地域では慣行となっており,借りようとする者も一般的に認識しており,また,賃貸人賃借人とも,物件の使用収益の対価としてかかる一時金が設けられているという限度で認識は一致しており,賃料の補充の性質を有する。
② 更新拒絶権放棄の対価の性質,賃借権強化の機能は認められるが,本件では希薄。
③ 約款を用いた取引であっても,核心的合意部分については交渉過程及び契約内容に顧客の意向が反映されるのであるから,企業者が定型的処理のため一方的に定めた技術的事項や付随的条件とは異なり,解釈にあたって,約款の特殊性に応じた厳密な内容規制を及ぼす必要はない。
④ 10条前段要件は満たす。
⑤ 10条後段要件について,「消費者の利益を一方的に害する」とは,事業者と消費者との間の情報力・交渉力の格差によって消費者に判断の前提となるべき情報が提供されず条項の了知が期待できないこと,あるいは,市場における競争原理が有効に機能していないことから,私的自治の原則や契約自由の原則に修正を加えなければならないほどに,消費者の利益が不当に侵害されていることと解するのが相当。
⑥ 本件では,原告は更新料の内容を認識しており,自由な選択で契約したもの。格差につけ込んで押しつけたものとはいえない。中途解約の場合も返還されないことを認識した上で放棄したもの。



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