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「2010年6月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H21.12.22名古屋地裁判決

判決年月日: 2009年12月22日

平成20年(ワ)第6505号不当利得返還等請求事件
消費者法ニュース83号223頁,国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
裁判官 宮永忠明

【事案の概要】
原野商法被害者が,販売業者に対して支払った測量代,広告費用の返還を求めた事例。広告契約についての不実告知による取消が問題となった。

【判断の内容】
以下の理由から,広告契約について不実告知による取消を認め,広告費用の返還請求を認めた。
① 広告契約の締結について,本件土地の売却可能性は,4条1項1号,4条4項1号の「用途その他の内容」についての重要事項にあたる。
② 売却可能性が少なく広告掲載による原告の利得はない。

◆ H21.12.15大阪高裁判決

判決年月日: 2009年12月15日

平成21年(ネ)第2154号保証金返還請求控訴事件,同第2551号同附帯控訴事件
未登載
裁判官 一宮和夫,富川照雄,山下寛
原審 H21.07.30京都地裁判決
上告審 H23.07.12最高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,敷引条項が無効であるとして返還を求めた事例

【判断の内容】
敷引条項が無効であるとして返還請求を認めた。

◆ H21.12.03大阪高裁判決

判決年月日: 2009年12月 3日

平成21年(ネ)第2005号敷金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 三浦潤,大西忠重,井上博喜
原審 H21.07.02京都地裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,保証金から一定の金額を解約引金として控除して返還するとの特約が10条違反であるとして返還を求めた事例

【判断の内容】
解約引条項が無効であるとして返還請求を認めた。

◆ H21.10.29大阪高裁判決

判決年月日: 2009年10月29日

平成21年(ネ)第1211号更新料返還等請求控訴事件
判例時報2064号65頁
裁判官 三浦潤,大西忠重,井上博喜
原審 H21.03.27大津地裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約について,更新料支払条項が10条違反であるとして,更新料の返還を求めた事例

【判断の内容】
以下の理由により,更新料の返還請求を棄却した。
① 本件更新料支払条項は10条前段を満たす。
② 礼金の趣旨は,賃貸借期間を2年とする賃借権の設定を受けた賃借人としての地位を取得する対価。
③ 更新料の支払により,期間の定めのある賃貸借契約として更新されることや,更新料を含めた負担額を事前に計算することが特段困難とはいえないこと,更新料が比較的低額であることなどから,10条後段を満たさない。

◆ H21.10.23大阪高裁判決

判決年月日: 2009年10月23日

平成21年(ネ)第1437号契約条項使用差止等請求控訴事件
消費者庁HP(pdf)消費者支援機構関西HP
裁判官 永井ユタカ,上田日出子,谷口安史
適格消費者団体 消費者支援機構関西
事業者 ニューファイナンス株式会社
第1審 H21.04.23京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が貸金業者に対し,10条違反である早期完済違約金条項(債務者自ら繰り上げ償還する場合をA,期限の利益喪失による繰り上げ償還の場合をB)の使用差止,及び差止に必要な措置を求めた事案。事前請求の有効性についても争われた。

【判断の内容】
以下のように判断し,条項Aについては差止,契約書の破棄を命じ,Bについては棄却した。
① 41条1項の「請求の要旨」とは,差止請求の相手方である事業者等に対し,訴えによって差止の対象となる行為がどのような行為かを示す程度の事項をいうところ,本件ではその記載がある。
② 事前請求書を受領拒否していたとしても,41条2項により到達したものとみなされる。
③ 被告が条項Bについて無効であることを認めていないとしても,被告が契約書式を改訂し,Bを現在使用していないこと,本件訴訟において今後使用の予定はないと述べていることからは,条項Bについて将来の使用の恐れがあるとは認められない。
④ 条項Aについては,貸付利率いかんによっては10条違反となる場合がある。 
⑤ 条項Aについて,他の条項によって当該契約条項が10条に該当し無効・有効の判断が分かれる場合であって,当該契約条項を使用した契約締結を差し止め るべき必要性が高い場合には,当該契約条項を使用した契約締結を差止の対象とすることも許容するのが12条の趣旨であるとして,差止を認めた。
⑥ 条項Aを含む借用証書の廃棄は契約の停止もしくは予防に必要な措置である。

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