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「2010年6月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H19.01.11大阪地裁判決

判決年月日: 2007年1月11日

平成18年(レ)第176号敷金返還請求控訴事件,同第251号同附帯控訴事件
未登載
裁判官 塚本伊平,府内覚,烏田真人

【事案の概要】
分譲貸の建物賃貸借契約につき,敷引特約(全額敷引の合意)は10条,民法90条により無効であるなどとして敷金の返還を求めたのに対し,分譲貸の事業者(2条2項)該当性等が争点となった。

【判断の内容】
① 転勤により空室になるため賃貸したものであること,当該建物以外の物件につき賃貸しているという事実も認められないことなどから,賃貸を反復継続的に行っていたということはできず,「事業者」(2条2項)には該当しない。
② 敷引特約は契約書,重要事項説明書に明記されており,賃借人が敷引特約を押しつけられたといった事情もうかがえないことから,敷金全額(90万円。なお,賃料月額14万円,管理費月額2万3940円。)であっても直ちに公序良俗に反するとはいえない。

◆ H19.11.09奈良地裁判決

判決年月日: 2007年11月 9日

平成18年(ワ)第824号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 坂倉充信

【事案の概要】
敷金40万円から控除された,敷引部分20万円と原状回復費用のうち19万8425円の返還を求めた(賃貸人からの反訴あり)。

【判断の内容】
一部認容。
① 賃借人は原則として故意・過失による建物の毀損や通常でない使用方法による劣化などについてのみ原状回復義務を負う。
② 敷引特約は,10条により無効として賃借人に責任ある修繕費用(13万7271円)のみ敷金からの控除を認めた。

◆ H18.12.28神戸地裁姫路支部判決

判決年月日: 2006年12月28日

平成17年(ワ)第633号売買代金等請求本訴事件,同第899号原状回復請求反訴事件
兵庫県弁護士会HP
裁判官 黒田豊

【事案の概要】
太陽光発電システムの勧誘につき不実告知及び不利益事実の不告知を認めた事例

【判断の内容】
当該商品を購入することによって将来生ずる経済的メリットに関する事実は,本件契約では重要事項にあたる。この点について,不実を告知し不利益事実を告知しなかったものであり,4条1項,2項,特商法9条の2により取り消すことができる。

◆ H18.12.22最高裁判決

判決年月日: 2006年12月22日

平成17年(受)第1762号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例時報1958号69頁,判例タイムズ1232号84頁
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋

【事案の概要】
いわゆる鍼灸学校の入学試験に合格し,同学校との間で納付済みの授業料等を返還しない旨の特約の付された在学契約を締結した者が,入学年度の始まる数日前に同契約を解除した場合において,同特約が9条1号により無効とされた事例

【判断の内容】
"鍼灸学校であっても,在学契約の性質,学納金の性質,不返還特約の性質及び効力については,大学に関する平成18年11月27日の判例の説示が基本的に妥当する。
3月31日より前に辞退しているのであれば平均的損害は損しないのであり,不返還特約は無効である。

◆ H18.12.15大阪地裁判決

判決年月日: 2006年12月15日

平成18年(レ)第137号保証金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 山下郁夫,横路朋生,矢野紀夫

【事案の概要】
敷金返還請求。敷引特約(45万円から30万円を差し引く)の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認めた。
① 敷引特約は,敷引をする趣旨が合理的なものと認められ,かつ,敷金契約締結の際に敷引の趣旨が賃借人に説明されて賃借人もこれを了解しているなど特段の事情のない限り,信義則に反して賃借人の利益を一方的に害すると解すべき。
② 本件では,説明がなされこれを賃借人が認識したことを認めるに足りる証拠はないから,合理性の有無を検討するまでもなく,10条違反となる。

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