◆ H22.03.26大阪高裁判決
判決年月日: 2010年3月26日
2010年6月27日 公開
平成21年(ネ)第2692号定額補修分担金条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)、判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 三浦潤,中村昭子,森宏司
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社長栄
第1審 H21.09.30京都地裁判決
強制執行 H23.11.24京都地裁決定
【事案の概要】
適格消費者団体が,不動産賃貸業及び不動産管理業を目的とする事業者である被告に対し,定額補修分担金条項が10条に反して無効であるとして,定額補修分担金条項を含む意思表示をすることの差止め及び同条項を含む契約書用紙の破棄等を求めた事案
【判断の内容】
① 41条1項の事前の書面による請求は,事業者等に対し早期に取引の実情を把握して自ら是正する機会を与えるとともに,これにより紛争の早期解決と取引の適正化を図る観点から,訴訟に先立ち請求することを義務づけたものであり,同項及び同法施行規則32条1項に定められた事項以外の事項が記載されていたからといって事前の書面による請求にあたらないとはいえない。
② 定額補修分担金条項は10条に反して無効。
③ マスコミを通じて使用しないことを表明していても,経営判断が状況に応じて変転する可能性も高く,また,10条違反性を強く争っている以上,使用する恐れがあるといえる。
④ 合意更新の際には,定額補修分担金条項を含んだ契約の申し込みまたは承諾の意思表示があるものとは認められない。
⑤ 従業員への指示を求める請求は,特定として欠けるところはない。
⑥ 2年近く使用していないこと等から,従業員らへの指示の必要性はない。