平成20年(少コ)第3509号解約予告不足金請求事件
最高裁HP
裁判官 藤岡謙三
【事案の概要】
建物賃貸人が,中途解約をした賃借人に対し,解約予告不足金を請求した事案。解約予告不足金条項が10条,9条違反,民法90条違反となるとして争われた。
【判断の内容】
下記のように判断し,1ヶ月分の賃料・共益費相当額及び年14.6%の遅延損害金のみ認め,その余を棄却した。
① 解約予告不足金を定めること自体は,民法上でも期間の定めのある場合でも解約権の留保が認められていることから,一律に無効としなければならないものではない。
② 一般に,解約予告期間及び予告に代えて支払うべき違約金額の設定は1ヶ月分とする例が多数であり,解約後次の入居者を獲得するまでの一般的な所要期間 として相当と認められるので,解約により原告が受けることがある平均的な損害は賃料・共益費の1ヶ月分相当額であると認めるのが相当(民事訴訟法248 条)。
③ 遅延損害金は,9条2号により年14.6%を超える部分は無効。