平成17年(少コ)第89号保証金返還請求事件
未登載
裁判官 矢野隆
【事案の概要】
建物賃貸借における,保証金の返還請求。保証金45万円の内30万円を控除するとの条項の効力が争われた。
【判断の内容】
以下の理由から,当該条項について,賃貸物件の価値を高めるものではなく,また,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用(例えば不動産
業者の仲介手数料)については有効であるが,それ以外については10条違反により無効であるとしてその部分について返還請求を認めた。
① 民法に,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文がないから,賃借人の義務を加重する条項である。
② 賃貸人側,賃借人側の事情を検討すると,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用については,賃借人に負担させることも合理性があり,消費者の利益を一方的に害するとはいえない。