平成17年(レ)第36号敷金返還等請求控訴事件
未登載
裁判官 野尻純夫,川﨑聡子,森中剛
【事案の概要】
敷金22万5000円他の返還を求めた。入居期間の長短を問わず75%を敷金から差し引くとの敷引条項が公序良俗違反,10条違反かどうかが争われた。
【判断の内容】
敷引について,新たなる賃借人のために必要となる賃貸物件の内装等の補修費用の負担等について,賃貸人と賃借人との間の利害を調整し,無用な紛争を防止す
るという一定の合理性があることは否定できないとしつつ,自然損耗部分について賃借人に二重に負担させることになってしまうとし,実際に補修工事費用とし
て賃貸人が挙げているものについて目的物の通常の使用に伴う自然損耗を超える損耗の補修に要する費用であると直ちに断定しがたいこと等からは,75%もの
敷引には正当な理由がないとし,前述の一定の合理性があることに鑑みて,敷金の25%を超えて控除するとの部分を10条に反して無効であるとして,その
75%の部分について返還請求を認めた(一部無効)。